北海道新幹線札幌延伸、開業はいつ? トンネル掘削は難航、地質調査にも時間 年度内の表明見えず
北海道新幹線の札幌延伸時期の見通しが一向に立たない。2030年度の開業断念が事実上決まってから半年が経過したものの、渡島トンネル(北斗市―渡島管内八雲町)などで難工事が続き、開通時期を見極める材料となる地質調査の結果もまだ出ていない。国土交通省には、新たな開業時期を本年度内に示せるのではと期待する声もあるが、状況は不透明だ。 【表】工事が難航しているトンネル トンネルが完成してから営業運転を始めるまでには、線路敷設や試運転などで4年ほどかかる。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構はもともと、30年度末の開業に向けて26年度までの土木工事完了を目指していたが、5月8日に数年単位で遅れると表明した。 渡島トンネルは全7工区のうち、地質がもろい台場山工区(3.5キロ)と、粘土質の南鶉(みなみうずら)工区(3.9キロ)の掘削が難航している。本来は月に70メートル前後掘り進むはずが、今年のペースは平均で二十数メートルにとどまっている。進捗(しんちょく)率は両工区とも約4割で、仮に今後も同様のペースが続けば貫通まで8年ほどかかる計算だ。試運転などの時間を考慮すると、開業は30年代後半にずれ込む可能性すらある。 ただ、難しい地質がどこかで途切れれば工事を加速できるため、同機構は現地で2種類の地質調査を実施。分析結果が出るまでにボーリング調査はあと1~2カ月、地上からの電磁波調査はさらにもう少し時間がかかる見通しだ。結果を基に国交省の有識者会議が新たな開業時期を議論する。今回の調査では地質の判断がつかず、追加調査などでさらに時間がかかる可能性もある。 また羊蹄トンネル(後志管内倶知安町―同管内ニセコ町)では、岩塊が全2工区の9カ所で確認された。現在は有島工区(4.2キロ)で掘削を止め、岩塊を撤去中。比羅夫工区(5.6キロ)でも一時、掘削が2年4カ月中断するなどした結果、工事は既に3~4年遅れとなっている。 同機構は現時点で、5カ所の岩塊は工事を止めて撤去しなくても問題ないとみているが、国交省幹部は「さらに撤去が必要になれば掘削が1~2年停止する」と懸念。同トンネルの貫通にめどが立たなければ正確な開業時期は決まらないとの見方を示す。