保護司殺害疑いで容疑者を起訴 刑事責任問えると判断 大津地検
大津市の民家で5月、保護司の男性(60)を殺害したとして、大津地検は18日、無職の飯塚紘平容疑者(35)=大津市=を殺人などの罪で起訴した。事件当時の精神状態などを調べる鑑定留置を実施し、刑事責任を問えると判断した。大津地裁で開かれる今後の公判で詳しい動機や経緯が明らかになるかが焦点になる。 亡くなったのは新庄博志さん。飯塚被告は6年前のコンビニ強盗事件で有罪判決を受け、保護観察中だった。5年間の執行猶予期間中は新庄さんが担当保護司となり、月2回程度の面談などを通じて立ち直りを支援していた。 起訴状によると、5月24日午後6時55分~7時15分ごろ、大津市仰木の里東6の新庄さん宅で、面談中の新庄さんをナイフ(8・6センチ)やおの(8センチ)で複数回突き刺すなどし、出血性ショックで死なせたとされる。非常勤の国家公務員である保護司の業務を妨害したとして、地検は公務執行妨害罪でも起訴した。 地検は被告の認否を明らかにしていない。被告は6月の逮捕直後、「私は何もやっていませんし、何も答えたくありません」と容疑を否認していた。 被告は事件4日後の28日深夜、大津市内でナイフ(18・2センチ)を隠し持っていたとして銃刀法違反容疑で現行犯逮捕されていた。滋賀県警はその後、新庄さんへの殺人容疑で逮捕。事件前までに2人の間にトラブルは確認されなかった。 地検は被告を起訴できるかを判断するため、6月から4カ月超にわたって鑑定留置を実施。精神状態や生活実態などを調べた専門医の鑑定結果などを踏まえ、刑事責任能力があると判断した。 一方、被告は保護観察中に転職を繰り返していたことが明らかになっている。周囲に「自分に対する評価が納得できない」などと漏らしていたという。被告と面談したことがあり、更生支援を担っているNPOの関係者は起訴を受け、「被告に何があったのか気になるが、真相究明に向けて前進することを期待したい」と語った。【菊池真由、礒野健一】