ハモネプ出場の歌うま芸人【9番街レトロ・京極風斗】28歳にして気付いた新たな才能
神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動している芸人「9番街レトロ」の京極風斗(きょうごく・かざと)さんは、極端なほどに“0か100か”で生きている。そんな京極さんが、28歳にして努力ゼロで今まで気付いていなかった新たな才能を発見。ただ仲良くしたい人と一緒にいるだけで楽しいことを運んできてくれたんだとか。なんの利益も考えずに、自分の感覚を大事にして生きていくほうが面白いことやいいことに出会えるかも? 【9番街レトロ・京極風斗】僕にはアカペラのベースの才能があるらしいのです。
9番街レトロ・京極風斗
連載【0か100かで生きてゆく #63】 ー 人脈 ー
Illustration: Kazato Kyogoku
28歳にして気付いた新たな才能
「人脈」というワード。 僕は嫌いなんですが、みなさんいかがでしょう。 「ヴッ」となる方も少なくないと思います。 胡散臭い人間の中でも、特に胡散臭い人間が濫用する単語ってイメージですよね。 アイツですよ。ネイビーのスーツの。ツーブロックの。歯の白い。アイツが言ってるイメージですよね。 そういう奴のせいで、ビジネスライクな、なんとなくお金の匂いがするやらしい感じのワードになってしまったんだと思います。 しかしね、本来「人脈」ってのは本当に大事なことなんです。 それっていうのは、企業の社長だったり芸能人だったり政治家だったりの、いわゆる「太いパイプ」が大事って話ではありません。 「人脈」=「太いパイプ」にしたのはやはり、ネイビーのスーツの。ツーブロックの。歯の白い。肌の浅黒い。夜景が好きな。アイツのせいなんですが。 直接利益を与えてくれそうなキラキラしたパイプだけではなく、とにかくいろんな種類のパイプを繋げてほしいのです。 先日僕はハモネプの本選に出ました。 数ヵ月前まで、アカペラの定義も曖昧だった僕が、あのハモネプの本選12組に残ったのです。 そこで初めて知ったのですが、僕にはアカペラのベースの才能があるらしいのです。しかもかなり。 普通は出ない音域が出るらしいです。 ただ地声が低いだけでめちゃくちゃ褒められて、個人的には天性のものを持っている実感が全く無いというか、僕の努力ゼロで褒められている状況が不思議というか、正直そういう形で産んでくれた親が凄いだけなんですけど、とにかくかなり才能があるらしいのです。 28歳にして新たな自分の才能に気付くだなんて思ってもいなかったので、これはほんとにとってもラッキー。 で、それっていうのはひとえにヨネダ2000の愛ちゃんのおかげなんです。 そもそもハモネプに出たがっていたのは愛ちゃんで、一緒に出るメンバーとして僕を選んでくれたんですね。 そこからアカペラ界隈の友達も沢山できまして、アカペラのライブに出ることにもなりまして、恐らく今後、僕の活動の幅は広がっていくわけですね。 そうして出会った誰かがまた、新たな楽しいことを運んできてくれるかもしれません。 これなんです。これこそが「人脈」なんです。 そもそも僕は愛ちゃんが面白いから仲良くしていたのであって、別に愛ちゃんに何かをしてもらえるだなんて思っていませんでした。 初めから「何かおいしい思いができるかも」なんてよこしまな気持ちで繋がっている人同士が人脈人脈言ってるのとは訳が違うんです。 「なんか面白いな」と思った人とただ仲良くしているだけで、面白い人は面白い話を運んできてくれるわけです。 こんな感じで、自分の感覚で生きていただけで自然に派生したものを「人脈」と呼ぶべきですよね。 それをさ。 ネイビーのスーツの。ツーブロックの。歯の白い。肌の浅黒い。夜景が好きな。高級車の運転席で自論を語るTikTokで1000そこらのいいねを貰う。アイツのせいでさ。 言葉に罪はありません。せっかく良い意味で使える「人脈」なので、みんなで認識を改められたら良いですね。 皆様におかれましても是非、利益度外視で、いろんな種類の人間と、面白く生きて頂きたいと思います。