【Playback箱根駅伝】第11回/早大が4区でブレーキも山下りで逆転! 前年の優勝記録を10分近くも更新
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第11回箱根駅伝総合成績をチェック
第11回(1930年/昭和5年) 慶大が往路初優勝 9区でアクシデントの日大は最下位フィニッシュ
前回と同じく9校が出場。第1回大会の優勝校の東京高師は、この大会から東京文理科大に校名変更した。 レース序盤は早大が主導権を握る。1区の小山勝太が区間新記録の走りで先行すると、2区の吉田芳春、3区の小原孝一も区間2位と好走して首位をキープした。 4区では3分20秒差の3位でスタートした日大の渡辺信男が前を行く早大と慶大を交わして首位に浮上。25秒差で慶大が続き、区間7位と苦戦した早大は38秒差の3位に転落した。 5区では慶大の渡辺弥太郎が日大を抜いて先頭を奪う。渡辺は前回区間賞の早大・藤木勲を突き放す区間賞の快走で、慶大が往路初優勝を果たした。2位は早大が48秒差でゴール。48秒差は第40回大会で中大が日大を13秒差で抑えるまで、往路の僅差記録として長い間破られなかった。小田原を首位通過した日大は5区で区間6位と苦戦して8分43秒差の3位に終わった。 復路では6区で早大の鈴木憲雄が2年連続となる区間賞の走りで慶大を逆転。区間8位と苦戦した慶大に2分9秒の差をつけた。 早大はその後も8区の中島幸基が区間賞を獲得するなど盤石の走りでリードを拡大。戸塚の時点で2位の日大と12分35秒の大差がついていた。 9区では先頭の早大を追う日大にアクシデントが起こる。鶴見中継所手前の生麦で早瀬道雄が転倒して走行不能となり、補欠の伊藤祐之が戸塚から再出発するという不運に見舞われた。その結果、日大はこの区間で3時間19分50秒を擁し、最下位転落を余儀なくされた。 最後まで堅実な走りを続けた早大が2位の明大に18分48秒差をつける13時間23分29秒で2年ぶり4回目の優勝。前年に出されたばかりの大会記録(13時間32分50秒)を10分近く更新した。若干のコース変更はあるもの、3年前までは優勝記録が14時間台だっただけに、学生ランナーの競技力向上が著しく進んでいた。また、往路優勝の慶大は復路7位と苦戦して中大に次ぐ4位に終わった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部