中津川の老舗酒蔵が北海道へ移転、地球の“温暖化”から逃れる人々
世界中で現れる“地球温暖化”の影響
「これは昭和35年生まれですから僕と大体同い年」と山田さんが指したのは、中津川で使っていたタンク。蔵内にずらりと並び、東川町でも『三千櫻酒造』の酒造りを支えている。
140年以上続く家族経営の小さな蔵。気温以外にも、蔵の建設費は東川町が負担してくれることもあり移転を決めた。山田さんは、「ずっと岐阜でやってたら、おそらく、今頃潰れているかもしれない。寂しいには寂しいですけど、蔵をずっと存続するにはどうするかという決断なので」と決断に至った胸の内を明かした。
温暖化の影響は、今、世界中に現れている。国連難民高弁務官事務所によると、温暖化に伴う気候変動で故郷を追われ、他の地域に避難している人々は年間平均2000万人以上にものぼるという。
また、リゾート地としても人気を集める、インド洋に浮かぶ島国・モルディブでは、温暖化の影響で砂浜が浸食され木の根がむき出しに。過去100年で、約19㎝上昇している世界の海面。今世紀末には最大で82㎝上昇すると予測されており、モルディブは国土のほとんどが水没する恐れがある。
温暖化の影響は、動物たちにも。ロシアの村のゴミ処分場では、餌をあさるホッキョクグマが出現。気温の上昇で海面が凍結する期間が短くなり、十分な狩りができなくなったホッキョクグマ。餌を求め、本来の生息域から遠く離れた人里までやってきたのだ。 深刻化する地球温暖化。その影響は、世界中でさまざまな形で現れているのだ。
“東川町の地酒”として知名度も高まる
酒造りに適した環境を求め、中津川から北海道東川町に引っ越してきた『三千櫻酒造』。移転から4年、東川町の地酒として徐々に知名度が高まっている。『三千櫻酒造』の酒を味わったお客さんからは、「甘いけど後味はすっと消えていくので飲みやすい。おいしい」「水がいいのか分からないけど、飲みやすい澄んだ感じがします」という声が寄せられるなど評判も上々。
また、“北海道土産”として『三千櫻酒造』の酒を購入していく観光客の姿も。北海道で酒屋を営む「うえ田」の上田桂輔社長は、「(『三千櫻酒造』の酒を)前回飲んで美味しかったら、また違うのを買いたいって声をよく聞くので、お店としても力強い蔵元さん」と話す。