名将が植え付けた執念 彦根総合、創部15年目で夢つかむ センバツ
10年に1度の寒波に凍える日本列島に一足早い春の便りが届いた。第95回記念選抜高校野球大会の出場36校が決まった27日、あこがれの甲子園切符をつかんだ球児たちの歓声が冬空にこだました。 【第95回センバツ出場決定 各校の喜び】 創部15年目で春夏通じて初の甲子園となる彦根総合(滋賀)。県立北大津を春夏計6回の甲子園に導いた宮崎裕也監督(61)に率いられ、夢をかなえた。 宮崎監督を迎え、チームの改革が始まったのは20年。今の2年生28人は「宮崎監督と一緒に野球がしたい」と、部員わずか11人だった同校に入学し、甲子園を目指した。昨春の県大会で4強入りし注目されたが、まだ発展途上。シード校として臨んだ昨夏の滋賀大会は初戦で涙をのんだ。「悔しい、情けない」の思いでいっぱいの新チームの選手たちに、宮崎監督は「悔しさを忘れぬ者が次の勝者になる」と記した紙を渡した。その頃、両翼100メートルの専用グラウンドが完成。選手たちは思う存分、実戦練習を重ねた。 宮崎監督が選手たちに言い続けたのは、相手に圧力をかける「執念」の野球だ。「2アウトから得点を稼ぐ」をスローガンに秋の県大会で初優勝。近畿大会でも8強入りしてみせた。 この日、選手たちは拳を突き上げたり抱き合ったりして大喜び。上田大地主将(2年)は「甲子園はずっと目指していた場所。守備を強化して挑み、彦根総合の名前を広めたい」、武元駿希投手(2年)は「本番でしんどい試合があっても、支えてくれた人たちのことを思い出して戦い抜きたい」と健闘を誓った。宮崎監督は「気を引き締めて日本一を目指したい」と話した。【飯塚りりん、礒野健一】