『少年ジャンプ+』の編集部員・林士平 漫画家と一緒に“物件”巡り「緊急連絡先がなぜか僕」
日テレNEWS
『SPY×FAMILY』『ダンダダン』などを担当する漫画編集者・林士平さん(41)にインタビュー。漫画編集の仕事を始めて、今年で17年となる林さんにこれまでの活動、また長い時間をかけ築き上げてきた、漫画家との関係性についてお話を伺いました。 【画像】 『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』…ヒット作支える担当編集 読者からの感想は「いまだにうれしい」 林さんは2006年に集英社へ入社。『月刊少年ジャンプ』『ジャンプSQ.』編集者を歴任し、現在は漫画アプリ『少年ジャンプ+』の編集部員を務めています。連載中の『チェンソーマン』『HEART GEAR』『幼稚園WARS』『BEAT&MOTION』の編集を担当しています。
■漫画編集の仕事
――漫画編集のお仕事について教えてください。 漫画作品のもとになる『ネーム』の前から「次に何書きます」とか「新しく何を書きます」って打ち合わせをして、それの下書きの下書きみたいなネームで良い悪いとか話をして、完成して、それを世の中に発表して、コミックスという形のパッケージングをして、届けるのが基本の仕事で、古くからの漫画編集者の仕事のベースがそれで、最近だといわゆる二次利用です。アニメ、ドラマ、映画、舞台とかミュージカルとかグッズとか宣伝戦略まで全部一応担当編集のもとにチェックが来るので、ライツビジネスをやっているチームと宣伝部のチームと、もちろん作家さんに相談をしながら、どうしたら最大限、全世界の方々に気づいてもらえるかみたいなのも考えて作っています。 ――担当されている漫画家さんとは、どのように仕事を進めていますか? 例えば電話で打ち合わせをしたり、絶対直接会って打ち合わせしたいという方もいれば、LINE、メールで返していた方もいらっしゃいますし、バラバラですね。なので、聞いちゃいますけどね。打ち合わせの仕方とか、打ち合わせの頻度とか。大体おひとりの方が多いんで、1対1ですごく長い年月をかけてコミュニケーションをしてチームになっていくので、連載する頃にはかなり近い距離でいるという。 ――漫画制作で意識していることは? 難しいんですけど、王道もめちゃくちゃ大事なんですよね。みんなが分かっている物語の形に置いておくと、安心して読めるから、でもそれだけだと飽きちゃうんで、そのバランス調整をよくしている印象はありますね。「どこかで見たなにかの劣化版じゃん」だと売れない。ちょっと新しいだけでも少し、お客さんが「おお」って思ってくれる瞬間、それをどういう部分で作るか。キャラで作るのか、セリフで作るのか、設定で作るのかっていうのを、作家さんとよく議論をしているって感じですかね。 ――そのバランスが大事になるんですかね? 作家さんとか作品によりますね。形がある程度できてしまっているジャンルとかあるじゃないですか。恋愛もの、ホラーものとかが多分そうだと思うんですけど、型を崩すのはすごく難しいので、そういう場合は作家さんと型の話を1個ずつ話していって、「何が崩せるか」とか「どうやるべきか」みたいな話をしたりもします。そもそも「何を書かなきゃいけない」というルールがないので、作家さん書きたいものを自由に書けるので、うまくハマらなかったら次のジャンルに行けばいいし、別のジャンルを書けばいいんで、毎打ち合わせ、毎打ち合わせ全く違う話をしていますよ。