千年続く畳文化を次世代へ継承 日本唯一の「畳供養」京都で
千年続く畳文化を次世代へ継承 日本唯一の「畳供養」京都で 撮影:北代靖典
日本唯一の畳の風物詩「畳供養」がこのほど、「浄土宗大本山 清浄華院」(京都市上京区)で厳かに開催された。毎年4月29日、「畳の日」に行われる記念行事で、畳寺の畳まつりとして知られ、今年で4回目。畳を供養すると同時に、畳文化の発展を願うもので、「畳の良さと畳と暮らす心を思い出す機会を提供し、1000年以上続く畳文化を次世代に継承する目的で実施しています」と関係者は語っている。 【拡大写真付き】大阪・年に1度「火渡り」体験できる寺へ 地元に愛される住職奮闘
京都御所に隣接する「清浄華院」は、平安時代の貞観2年(860年)、清和天皇の勅願により慈覚大師円仁が創建した寺院で、貞観5年に落成した。境内の中央の大殿には約200畳の畳が敷き詰められ、常にイグサの香りに満ち、畳業界関係者から畳寺とも呼ばれている。 イベントの主催は、業界関係者でつくる「全国畳産業振興会」(京都市南区)だ。畳を手縫いする職人技の手縫い製作披露のほか、僧侶、山伏による「畳供養」が厳粛に行われた。 挨拶に訪れた門川大作京都市長は、「畳の部屋がどんどん減っていく中で、最近、保育所を増築してますけれども、保育所にも畳の部屋を1つは造っていく、そういうことを考えています。京都に使わる伝統文化、その土台は畳であると思っています。仏壇、神棚、そして茶道も華道も畳なしでは語れない。ダンナと畳は新しいほうがいい、というのは置いておきまして…畳文化の隆盛を願っています」などと語った。
同振興会では、年に2回、「畳の日」を設定している。4月29日(畳の原材料イグサが田園をみどり一面に染めて育つ春の記念日として)、9月24日(冬の衣替えを前に畳を上げて大掃除を推奨する日として)。春の畳の日に合わせた畳供養は浄土宗の伝統的な儀式にのっとり、全国から集められた願い事の書かれた古ゴザの“畳の護摩ゴザ”を、古畳で作られた“畳の菰(こも)”に入れて幽玄な炎で供養するというもの。願い事には「畳で商売繁盛」「東京五輪、畳でおもてなし」「世界中に畳文化が広がって欲しい」「心願成就」「無病息災」などが書かれ、燃え上がる炎を観客らは見守っていた。珍しい儀式だけに写真や動画を撮る人も多かった。 全国畳産業振興会関係者はこういう。「ここ15年の間に畳需要は半分になっています。マンションでもフローリングが増え、畳の部屋が減っていますし、業界としては残念に思っています。ただ、外国からの観光客は日本の伝統文化に興味があり、京都でも和室の部屋に泊まるなど、非常に関心がある。春の畳の日にこのようなイベントをやらして頂いています。畳文化の次世代への継承と畳産業の発展を祈るものです」 (文責/フリーライター・北代靖典)