【鳴門ボート・PGⅠマスターズC】菊地孝平が初出場初V/02のSで圧巻の勝ちっぷり
45歳以上の実力者たちがハイレベルの攻防を繰り広げた、鳴門ボートのプレミアムGⅠ「第25回マスターズチャンピオン」は最終日の21日、12Rで優勝戦(1着賞金1300万円)を争い、1号艇の菊地孝平(45)=静岡=がイン逃げを決めて1着。前節の児島周年から2節連続で17度目のGⅠ優勝を挙げた。2着は前付けで3コースに入った6号艇の赤岩善生、3着は4カドに持ち出した2号艇の寺田祥。3連単は2280円の決着。6日間の売上額は80億852万400円で目標額(80億円)をクリアした。
■ヒーロー
今年もやっぱり“新人”が強かった。出場資格を得たばかりの45歳・菊地孝平が、予選トップからの王道V。昨年、初出場でVの井口佳典と同じ足取りに「昨年の井口さんを“かっこいいな。僕もやりたいな”と見ていたので、とてもうれしい」。思いを成し遂げ、表情は充実感にあふれた。
「これぞ菊地」という圧巻の勝ちっぷりだった。インから一人だけゼロ台。しかもFすれすれの02。2コース以下の姿はなく、並の選手なら不安になって大きくアジャストするところだが、きっての速攻派は違った。「さすがに早いなと思って、45メートル手前で様子を見た」が、あとはそのまま。影も踏ませぬ速攻劇とはこのことだった。 ただ本人は「優勝戦は、気象にしろ進入にしろSにしろ、簡単ではない条件がそろっていたので、とにかく最善のSを行かないと簡単に負けると思っていた。その余裕のなさで、Sを“行かされて”しまった」と、まずは反省の弁。 雨で出力ダウン、外枠勢が前付け、超抜の伸びがカド・・・。厳しい条件を必死に振り切った結果だと明かしたが、45メートル手前のアジャストこそ、速攻派としての経験値のなせる業。卓越したS勘だけでなく、決して勇み足にしない的確な判断に、周りの誰もがひたすら脱帽だった。 師匠の金子良昭に続くマスターズの称号獲得。「師匠も取ったし、歴代優勝者はそうそうたる顔触れ。勝てたのは自信になる」と歓喜。「でも気持ちはいつまでもチャレンジャー。浮かれることなく、目の前の一戦を走るだけです」 まだ届かぬ黄金のヘルメットを目指して、“永遠の好青年”は進化と挑戦の道を歩み続ける。(深堀慎一郎)