公立中運動部、19市町で地域移行…スポーツ庁「重点地域」の兵庫県
公立中学校の部活動を民間主体で運営する「地域移行」に向け、都道府県や各市町の教育委員会が準備を進めている。兵庫県内では2023~25年度に地域移行を進め、26年度からの実施を目指す方針で、県教委は7月に「部活動地域移行推進計画」を策定。各市町教委は同計画に沿って、実情に応じた移行を検討していく。(辻井花歩、高田果歩) 【画像】兵庫県
地域移行は、教員の過重労働問題や少子化を受け、公立中の部活動の運営を、学校ではなく、民間団体に委ねる取り組み。国は23年度からの3年間を「改革推進期間」と位置付ける。 これを受け、県は23年度に有識者会議を開き、検討を開始。今年6月には、環境整備に先導的に取り組む地域を指定するスポーツ庁の「重点地域」にも選ばれた。今年度、運動部は19市町、文化部は9市町で地域移行に向けた実証実験を行っている。
県教委の推進計画では、▽地域クラブや大学、民間事業者が主体となる「地域移行型」▽教委が任用した部活動指導員を配置する「地域連携型」▽各教委や学校がエリアや種目に応じて選択する「ハイブリッド型」――の3パターンを想定している。どの型でも大会には出場できるという。 県教委は、各市町教委が地域に合ったパターンを選ぶことを推奨。独自の計画策定を求め、25年度は全市町で実証実験を行い、26年度からの本格移行を目指す。県教委体育保健課の高尾賢司さん(51)は「部活動は人間関係を学ぶ大切な場所。全県一丸となって持続可能なものにしていきたい」と語る。
指導者代わるリスク回避
神戸市教委は2026年9月から、市立中学校の部活動の運営を平日、休日ともに地域に完全移行する計画を示している。国のガイドライン(指針)では、休日の部活動の段階的な地域移行を基本としているが、市教委は「平日と休日で指導者が代わることで、生徒や保護者に混乱が生じる可能性があり、責任の所在も不明確になる」として、平日、休日ともに移行する方針だ。 地域クラブ活動「KOBE◆KATSU(コベカツ)」と題し、生徒は校区に関係なく参加できる。運営団体は登録制で、地域クラブや大学、NPO法人、民間企業などを想定。教職員の「兼業」も認める。学校施設を活用し、運営団体の判断で学校以外の施設も利用可能となる。