“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」
研究者にとっても、この地震は驚きでした。西村教授は「ずっとこういう大きい地震が起こるのではないかという可能性は持っていたが、地震活動も地殻変動も収まってきている状況だった。あのタイミングで来るというのは若干意外だった」と明かしました。 ■専門家が想定する“良いシナリオ”と“悪いシナリオ” 今後、地震活動は収束に向かうのか。5月5日のM6.5の地震の後、研究者の間では大きく分けて2つのシナリオが考えられています。 1つは、流体によって生じた断層のひずみが解消され、今後、徐々に地震活動が落ち着くという見方です。研究者が2023年3月に示したように、地殻変動は全体的に収束する傾向を見せていて、新たな流体の供給がないこともプラスに働いています。また世界的に見ても、この規模の群発地震は平均的に3年ほどで収束していて、一連の活動は終わりに近づいていると考えることができます。 一方、新たな懸念も浮上しています。5月5日の地震の前までは、震源の大部分は珠洲市北部の海岸近くに集中していました。 ところが、M6.5の地震の後、震源域が急激に北側の海域にも拡大。その震源域を横切るようにして走っているのが「珠洲沖セグメント」と呼ばれる海底活断層です。もし珠洲沖セグメントがずれ動くと、地震の規模はM7クラスに上ると予想されています。 研究者が今、「一番怖いシナリオ」と考えるのが、「流体が珠洲沖セグメントの深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。M6.5の地震が、珠洲沖セグメントでも地震を誘発するという考えです。西村教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」といいます。 そして海底活断層の場合、警戒をしなければならないのが「津波」です。石川県の津波浸水想定では、珠洲市北部の沿岸は地震発生から1分以内に津波が襲来すると予想されています。平松教授は「津波警報が出る前に津波が来ることも十分ありうる。強い揺れを感じたら、まずは津波の危険性を疑って避難行動をとってほしい」と呼びかけます。
北陸放送