2014年の悪夢……レギュレーションにより、F1マシンが歴史上最も醜かったシーズン。ノーズの先端に棒が!|F1メカ解説
レギュレーションを満たすための苦肉の策
マクラーレンのノーズのデザインは、全体が高く持ち上げられ、気流をフロア下に導く一方、レギュレーションを満たすために先端に棒が飛び出す形だった。ただシーズンが進むにつれて変更が加えられ、ノーズ本体の先端(棒の部分ではない)が直線的になり、より多くの気流を取り込めるようになった。
フォースインディアVJM07のノーズデザイン
フォースインディアVJM07のデザインは、ノーズ先端にただ棒が突き出す形ではなく、ノーズ下の気流への影響を極力減らすために、後方に行くに連れて棒が上下および左右に小型化されていた。 VJM07のノーズも、シーズン中に変更された。ノーズ本体の先端が後方に移され、フロントウイングステーの形状が変更。より前方に向け、弧を描くような格好となった。
トロロッソSTR9のノーズデザイン
トロロッソSTR9のノーズも、特異なモノだった。ノーズ先端から棒が突き出す形状だったが、ノーズ本体の先端形状が上方にアーチ型に持ち上げられるようにシーズン中に変更された。 STR9のノーズのデザインはさらに変更。先端は下方に膨らみが持たされ、前端には開口部が設けられた。これは姉妹チームであるレッドブルが採用したソリューションに近いモノだった。
ウイリアムズFW36のノーズデザイン
ウイリアムズも先端こそ前方に伸ばしたが、ノーズ本体への接続が斜めになり、より自然な形状になった。他のチームとは異なり、ノーズ先端に棒が突き出すような格好には見えない。 なお、ザウバーのノーズも、ウイリアムズに似た形状だった。しかし先端のレギュレーションを満たすためのセクションは、ノーズ下まで膨らみを持たされたまま伸びていた。
ケータハムCT05のノーズデザイン
ケータハムは、ノーズ先端にまさに棒が取り付けられただけのような、独特の形状だった。ある意味、最も醜いクルマだとも言われた。 シーズンが進むと、気流を改善するため、バニティパネルを使ってノーズの形状を修正。同時に、見た目もかなり良くなった。
レギュレーションの意図に最も近い? そしてさらに過激なデザインも!
その他のチームは、レギュレーションは満たしつつも、前述の7チームとは異なる解決策を採ってきた。メルセデスとフェラーリが登場させたノーズは、レギュレーションが本来意図していたモノに最も近かったようだ。 一方でロータスは、ライバルに差をつけるため、前述の7チーム以上にワイルドなソリューションを準備してきた。 メルセデスが採用したノーズデザインは、レギュレーションが意図していたモノにもっとも近いように見える。しかし、フロントウイングステーの取り付け位置を工夫するなどして、できるだけ多くの気流をノーズ下に送り込もうとしていた。レギュレーションに規定された通りのモノを登場させ、手をこまねいていたわけではない。 メルセデスは開幕直後から成功。そのためチームはシーズン中にデザインを若干修正し、ノーズ先端の高さを少し高めた。 またオンボードカメラのケースを利用して、空力デバイスのように活用した。