台風10号大きな被害無く 高齢者等避難は解除【宇部】
宇部市は、29日から30日にかけて最接近した台風10号による市内の状況(30日午後1時現在)をまとめた。最大瞬間風速は29日午後3時16分の24・7㍍、累計雨量の最大は西岐波の233・5㍉で、86世帯135人が避難した。けが人、住居被害などは無かった。19地区の土砂災害警戒区域とその周辺の2335世帯6195人を対象に発令した警戒レベル3の高齢者等避難は31日午前6時に解除した。 市は28日午後4時10分に第1警戒体制とし、波浪、暴風、大雨、洪水の警報もしくは注意報の発表を受けて29日午後3時52分に第2警戒体制を取った。その後すぐに水防本部を設置し、高齢者等避難を発令した。 1時間当たりの最大雨量は29日午後5~6時の27㍉。同日は6時間で106・5㍉、12時間で154㍉、24時間で179㍉となり、いずれも8月の観測史上最多となった。最大風速は同日午後6時23分の18・5㍍。同28分には3・79㍍の潮位を観測した。 市道上開作西宇部線の一部で29日夕から翌朝にかけて通行止めとなり、小野地区を走る県道美祢小郡線の西市小野-柳小野間では30日午前5時半から通行止めが続いている。 市営バスは30日の全便を運休。船鉄バスが昼頃から順次運転を開始した。JRは同日、県内の全線を終日運休した。 【収穫直前の田んぼ直撃 市北部、稲刈りに影響】 日本列島を縦断するように進み、各地に被害をもたらす台風10号は、宇部市北部の穀倉地域にも爪痕を残した。東吉部と西吉部でコシヒカリを育てている上符晃歳さん(62)の田んぼでは、収穫直前の稲が倒れ、予定通りに稲刈りができなくなった。 上符さんは5月下旬に苗を植え、31日に稲刈りをする予定だった。台風10号は九州を北上した28、29日にたわわに実った稲をなぎ倒し、大雨で田んぼが水浸しになったため、稲刈りを1週間ほど遅らせる。 6月から7月上旬に植えたものはまだ実が付いておらず、被害を免れた。上符さんと同じ時期に植えた人には接近を見越して先に稲刈りを済ませた人もいるという。上符さんは「自然が相手だから仕方ないが、稲刈りの最適期を逃して残念だ」と悔しがった。