異種格闘技戦となった『Crazy Jump 2024』ライブレポート 音楽性も人間性もバラバラな6組が登場
■Dannie May “黄ノ歌”でサウンドチェックを終え、意気揚々と登場したDannie Mayのオープニングナンバーは“東京シンドローム”。田中タリラ(vo/key)が弾くコミカルなフレーズと点滅するピンク色の照明でエキゾチックな空気を演出すると、「踊ってこうぜー豊洲!」と呼びかけて“アストロビート”へ。マサ(vo/g)とYuno(vo/mani)のボーカルリレーと、サビのファルセットでフロアを魅了した。勢いそのままに4カウントで突入した“ぐーぐーぐー”ではマサがハンドマイクに持ち替え、対峙したフロアの熱量を一気に沸点へと押し上げていった。こうなったらもう手が付けられないDannie Mayの面々、不穏なSEで誘う“ダンシングマニア”ではユニゾンでハモる分厚いハーモニーと重低音が効いたビートに踊らずにはいられなかった。 広大なフロアを見渡し「自分が巨人になった気持ち」とユーモアを交えて表現すると、Ⅳ―Ⅲ―Ⅵ―Ⅰの気持ちいいコード進行に乗せて「クールに踊れーーー!」とあおり“KAMIKAZE”へ。Yunoが見せた両手を顔の横で左右に揺らす振り付けで広大な豊洲PITはたちまちダンスフロアと化し、続く“カオカオ”も曲が進行するにつれて高揚感にどっぷりと浸かっていった。たとえ初見だとしても一瞬で虜にさせてしまう地力を余すところなく発揮してみせたDannie May。ラストはリリースされたばかりのアルバム『Magic Shower』の表題曲“マジックシャワー”。テーマとして掲げた「音楽は魔法か否か」を全身全霊のパフォーマンスで体現し、温かくも非現実的な空間を名残惜しそうにステージを去った。 ■Atomic Skipper サウンドチェックから“幻になって”“ブルー・シー・ブルー”“周回軌道列車”と曲を連発して絶好調ぶりを見せつけたのはAtomic Skipper。SEに乗せてステージ中央で円陣を組むと、「ライブハウスと同じように恋をしよう」と誘うように“ハニーマスタード”で開幕。中野未悠(vo)が赤いマイクコードを伸ばしながらハンドマイクでステージ上手いっぱいまで歩みを進めて歌い上げると、さらなる性急なビートでギアを上げて“幸福論”をドロップ。“メイビー”では中野がフロア中央の段差まで進み腰を下ろすと、「豊洲PITの床で歌うことができるの、今日しかやれないことやりたいわけよ、わたしは」と同志たちに啖呵を切っていき、それに呼応するように久米利弥(b)が下手セットに上りジャンプ、フロアは拳を突き上げて応えるなど興奮を隠せない様子だった。 「ライブハウスって場所、最高の音楽がいちばん輝く、そういう超シンプルでかっこいい場所だと思ってるんで、それやりに来ました」という宣言を皮切りに、“動物的生活”“間に合ってます”“スタンドバイミー”とアッパーな曲を立て続けに披露し「めちゃくちゃ気持ちいいぜ」と中野が歓喜の表情を浮かべ、止まることなく“ランドマーク”へ。《何も間違ってないよ》と右手で心臓のあたりを叩き鼓舞してみせると、“一瞬で過ぎる日々を君と”では神門弘也(g)、松本和希(ds)を含む全員コーラスで、過ぎ行く儚い時間を心に刻みつけるようにシンガロングを演出した。そして、イベントを主催するチケットぴあについて触れ、この日呼んでくれたスタッフが大好きだと言ってくれた曲として“星降る夜”へ。ライブハウスはステージとフロアの境界線がなく、人と人とが音楽でつながれる場所。そんな代えのきかない存在を背中に投影しながら、ラストに演奏されたのはライブアンセム“ロックバンドなら”。ロックバンドとしてステージに立った35分間は、どこまでも眩しくライブハウスそのものだった。
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