異種格闘技戦となった『Crazy Jump 2024』ライブレポート 音楽性も人間性もバラバラな6組が登場
10月13日、3連休の中日に「Grasshopper × PIA MUSIC COMPLEX presents. 『Crazy Jump 2024』」が豊洲PITにて開催された。チケットぴあが注目する次世代音楽シーンを担う若手アーティスト同士による対バンイベント『Grasshopper』と、チケットぴあ主催の野外音楽フェスティバル『PIA MUSIC COMPLEX』のコラボイベントとして、今回が初開催となる。 【全ての画像】『Crazy Jump 2024』撮りおろし画像(全29枚) タイムテーブルには音楽性も人間性もバラバラな6組が並んだ、文字どおりの異種格闘技戦。どのアーティストもこの日限りの熱演を届けてくれたステージの模様をレポートする。 ■林萌々子(Hump Back) トップバッターはHump Backのギターボーカルを務める林萌々子。SEなしで登場し「やりますか」とひと言。濃い木目調のアコースティックギターと身ひとつ、ステージ中央でスポットライトを浴びながら、当日の蒸し暑さを忘れてしまうほど軽やかなリズムで“おやすみ”をつま弾いていく。《お風呂に入って眠ろうか》のフレーズに続き、「好きに過ごしてください。寝てもうてもええし」とやさしく呼びかけ“暮らし”へ。《この暮らしを愛している》と同じ空間を共にするかけがえのない時間を分かち合った。 「しばらく産休・育休で活動休止してたんですけど、今日は弾き語りで呼んでもらいました。『Crazy Jump』ありがとうございます!」と感謝を述べると、生まれて半年になる息子の活発な様子を誇らしげに語りながら、「あんたもそうやったで」と母親から聞いた自身の幼少期のエピソードと重ね合わせる。「わたしはそのときからドキドキワクワクしたいみたいな気持ちがあったんでしょうけど、今は子育てという未知なる道を歩いてて、昔も今も変わらず。常に探求心を忘れずに謳歌する人生のテーマソングを届けつつ、「知らん道だけじゃなく危ない道をわたっておりました」と“思春期”を続けて披露。チューニング中にはフロアから「出産おめでとう!」という言葉が送られるなど、温かいムードに包まれた。 「昨日書き上げた新曲やってもいいですか?」と届けられたのは、孤独と幸福とが隣り合わせの息子との日々を《気づけば今日も1日が終わる》と思い返しながら心の奥底にそっとしまっておくような、いまだ曲名のない育児讃歌。ラストは「30、今いっちゃんおもろい。大人になるのマジでおもろいねん。楽しみにしとって。ほんで30とか私より上の人たち、一緒に大人がんばっていきましょう」と高らかに歌い上げた。 ■フリージアン SEが流れブルーの照明に包まれながらステージに颯爽と現れたのはフリージアン。「ワンツー!」のかけ声から“悲しみの全てが涙ならば”で口火を切ると、マエダカズシ(vo)は髪をくしゃくしゃとかき上げながらステージ前方のモニタースピーカーに片足を乗せては、《嗚呼 眠れない夜》と繰り返し思いの丈を飛ばしたのも束の間、続く“夕暮れとオレンジ”ではハンドクラップをあおり、《回る回る回る》で拳をくるくると回しフロアを導いていく。「改めまして、フリージアンです。豊洲PIT初めてです。こんなおっきいところで歌えてさ……次は自分らの力で来ます。その日まで歌い続けることをここに誓います」と“宣誓!”へ移ると、赤く照らされたステージにどくどくと脈打つビートが閃光のように駆け抜けていった。 「神戸から来ました。歌いに来ました。フリージアンです」と大舞台を噛み締めるように、この日のステージにその名を残すように話すマエダ。ちょうど1年前の『Grasshopper WEST vol.1』へのブッキングをきっかけに、そのライブ力でもってまぎれもなく自らの実力でたどり着いた豊洲PITのステージ。「別れの歌を」と告げて奏でられた“サトラ”では、前半3曲とは一転クリーンなエレキギターの音色とコーラスが重なり合う美しいロックバラードが会場中に鳴り響いたかと思えば、“仰げば尊し”では冒頭で「あーーーーー!」と絶叫し、ステージ上手から下手に位置を移しながら鬱屈した思いを放出して見せ、“怪物”ではメンバー各々が躍動的なリズムに身体を揺らし、ときにステップを踏みながらフロアの熱気を高めていった。そして11月16日(土)に渋谷CLUB QUATTROにて開催されるワンマンライブの告知を挟み、ラストの“青瞬”へ。この日フロアと共鳴したかけがえのない時間を最大級の「ありがとう!」で締めくくったフリージアン。記憶に残る35分間だった。
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