「長男が世界ダウン症水泳大会で日本男子初の銅メダルを獲得」金子エミ 6年間で14万キロの道のりを送迎して支えた日々
これからは、私がつきっきりでなくても水泳ができる環境を整えようと思っているところです。今は、私は送迎だけに徹しているのですが、カイトは私がいなくても積極的に周りの人とコミュニケーションをとって、なんとかやっているみたいです。メダルをとれたことで、自信がついたのかもしれません。これも成長ですね。 いまは、アジア大会で優勝することを目指して、ダウン症のための水泳環境が整っているポルトガルへ留学する計画を立てているところです。
カイトが産まれたとき、「私の人生、終わった」と思ったんですけど、私の新しい人生はあのとき始まったと今は思っています。もちろん、アスリートとしてやっていくにはお金もかかりますし、たくさんのサポートも必要で、誰もができることではありません。それでも、カイトが頑張ってくれたおかげで、思ってもみなかった世界を見せてもらえました。 カイトは、2022年にある企業にアスリート採用されて、年収400万円ほどの収入もあります。ダウン症の人は「B型支援」といわれる就労支援事業所に通うケースが多いのですが、月に1万円の収入にもならないので、これでは自立することはできません。カイトがダウン症のアスリートとして選択肢を増やす道を切りひらくことで、誰かの励みになれたら、こんなに嬉しいことはありません。
PROFILE 金子エミさん パーツモデル、美容家、事業家。コマーシャル100本以上、雑誌出演数100本以上をこなす。パーツモデルに求められる肌感や表現力を熟知した唯一無二の存在として独自のケア方法をテレビをはじめ多方面で披露。プライベートでは2人の息子の母。ダウン症の長男 カイト君の世界水泳挑戦と、これまでの子育てを描いたコミックエッセイ『世界は君のもの~美容家ママとダウン症カイトの世界水泳奮闘記~』(オレンジページ)ほか著書は7冊。 取材・文/林優子 画像提供/金子エミ
林優子