石破茂首相、政権不安定化で強まる〝岸田依存〟 選対委員長に最側近の木原誠二氏を起用
石破茂首相(自民党総裁)は、衆院選の与党過半数割れを受けて辞任した小泉進次郎前選対委員長の後任に、木原誠二選対委員長代行を起用する方向で調整に入った。複数の党関係者が6日、明らかにした。木原氏は岸田文雄前首相の最側近だ。石破政権は発足当初から林芳正官房長官をはじめ旧岸田派(宏池会)の出身者を重用してきたが、政権運営が不安定さを増す中、岸田氏と旧岸田派への依存を強めている。 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性 ■結束して石破氏支える 「今は結束して石破さんを支えよう」 岸田氏は5日夜、旧岸田派のメンバーとともに東京都内で開いた衆院選の慰労会でこう呼び掛けた。 派閥パーティー収入不記載事件の責任を取り首相を退任した岸田氏だが、衆院選では旧岸田派候補や新人候補を中心に全国で応援演説に回り、首相経験者として多数の聴衆を集めた。 旧岸田派は解散したが、岸田氏を中心になお結束力を保っている。首相に反感を抱く萩生田光一元政調会長ら旧安倍派(清和政策研究会)の関係者とも気脈を通じる間柄だ。 ■岸田氏への傾斜強める そんな岸田氏に対し、首相は傾斜を強めている。 9月の自民総裁選の決選投票では、岸田氏の協力を得て旧岸田派の一定数の票を獲得し、辛勝することができた。非主流派生活が長く仲間の少ない首相の党内基盤は脆弱で、与党過半数割れで求心力を失う中、岸田氏や森山裕幹事長に頼らなければ政権を運営できないのが実相だ。 首相はすでに党四役の一人として旧岸田派の小野寺五典政調会長を起用しており、木原氏の抜擢にも岸田氏の歓心を得たいという思惑が透ける。 ■一蓮托生のリスクも もっとも、岸田氏は首相を手放しで認めているわけではない。岸田氏は自らの退陣にあたって「今度こそオール自民党でドリームチームを作って信頼回復に向けて取り組んでもらいたい」と要請していたが、首相は総裁選で戦った高市早苗前経済安全保障担当相や小林鷹之元経済安保担当相の要職起用を見送り、旧安倍派から反発が強い村上誠一郎総務相を起用した。岸田氏は周辺に「あれが最初のつまずきだ」と漏らす。 旧岸田派が首相を全面的に支えるならば、首相と一蓮托生になるリスクが生じる。それでも岸田氏は周囲にこう語る。
「すぐに首相になれるという人がいるのか。石破さんを支えるしかない」(永原慎吾、永井大輔)