元乃木坂46北川悠理が初脚本&主演の温かな青春物語に反響「悠理ちゃんらしい」“4期生”の繊細な演技にも感嘆<しあわせなんて、なければいいのに。>
元乃木坂46の北川悠理が初めて脚本を手掛け、初主演も務める映画「しあわせなんて、なければいいのに。」が5月17日に配信された。同作は、2023年6月に乃木坂46を卒業した北川がグループ在籍時から構想を温めていたもので、同期である4期生の遠藤さくら、賀喜遥香、金川紗耶、黒見明香、佐藤璃果、柴田柚菜、清宮レイ、田村真佑、筒井あやめ、矢久保美緒、弓木奈於が出演。元メンバーが原作・脚本を担当し、現役メンバーが出演する作品は乃木坂46史上初めてのこと。監督は乃木坂46の「おいでシャンプー」「いつかできるから今日できる」のMVを撮影した高橋栄樹が務めた。17日の作品配信後には、アイドル時代から独特の感性を持っていた北川がつむぐ青春ストーリーに共感する声や、卒業した北川と現役4期生の共演というエモい組み合わせに、感慨深い思いをするファンの声がSNSに寄せられた。(以下、ネタバレがあります) 【写真】乃木坂46のセンターを担うメンバーも!現役4期生と北川悠理の集合ショット ■CDを配っていた少女と出会い物語が展開 主人公の白木鴇(北川)はなかなか学校になじめない高校2年生の女の子。鴇には「雨が降る前の夜」という好きな小説があり、その小説がきっかけで駅前で自主制作のCDを配っていたツグミ(筒井)と出会った。そこから物語が展開していく。 鴇はしばらく学校に行っていないようだ。ヒドいイジメに遭ったとかではなく、原因は違うところにあった。しかし、友人、クラスメイトとの“人間関係”が大きな原因になっているのは、時々フラッシュバックのように映る過去のシーンから伝わってくる。 「初対面の人を信じるのは怖いけど、仲良くなった友達を信じるよりは怖くない」という、小説の中のフレーズがあり、鴇はそれに共感というか、自分の考えが重なっている。 ストーリーの中で、鴇と関わるグループが大きく分けて2つある。一つは朱里(賀喜)、瑠璃紗(田村)、黄月(清宮)、藍栖(柴田)、橙子(金川)、蒼実(弓木)、緑(黒見)という学校のクラスメイト。もう一つは、ツグミ(筒井)、紫陽花(遠藤)、ローズ(矢久保)、かすみ(佐藤)と“コードネーム”で呼び合う小説「雨が降る前の夜」でつながりを持つ人たち。 親しいクラスメイトと距離を置いている鴇にとって、駅前で声をかけてきたツグミや、小説のオフ会メンバーのほうが“怖くない”と感じ、強引に誘われた形だったが、小説の中のゆかりの地を巡る小旅行、“聖地巡礼”に参加する。 鴇にとって思い切った行動だったが、この時、ツグミたちと話をしたことで、自分の本当の気持ちと向き合うことができた。そして、遠のいていた学校にも行ってみようと自発的に思うようになっていく――。 クラスメイトたちと仲良くしたいのに、いつの間にか、自分だけが輪の中に入って行けなくなる。輪の中に戻りたいのに、入ろうとすることによって自分が本当に疎外されていることが分かってしまったらどうしよう…。いろいろ考え過ぎて、元のように接するタイミングを逸してしまう、なんてことは多くの人が経験していることだと思う。 ツグミたちのグループの小旅行に参加したのは、初対面の人ばかりで自分に対する先入観を持たれてない分、気楽に接することができるから。その気持ちもよく分かる。ただ、ツグミは「私、君の気持ちが読めそうな気がする」と、鴇が何を考えているのか遠慮なく言ってくる性格で、鴇は「やめて。何も分かってないくせに」と否定するものの、「その存在を忘れたら、誰にも思い出されず、それはなかったことになってしまう」んじゃないか、という自身の考えを思わず吐露してしまう。 少しツグミの強引な部分が出るが、これがきっかけで後半のストーリーの中、鴇が自身の考えで行動を起こすようになるので、ツグミはキーパーソンだと言える。 ■鴇というキャラクターを通して共感できる物語 思春期に訪れる苦悩、葛藤をこの作品では“鴇”という女の子のケースとして描かれているが、多くの人たちに共感できる物語でもあると思う。主人公・鴇を演じた北川のちょっとした表情の変化などに注目すると、心の動きがより伝わってくる。 そして、クラスメイトを演じた中では朱里役の賀喜の演技も印象的だった。鴇と呼応するかのように、うれしい表情になったり、ちょっと寂しさを感じる表情になったり。いつもの賀喜とは違う一面を感じさせてくれている。そして、ことさら演技が際立っていたのはツグミ役の筒井。初対面で声をかけたり、オフ会に誘ったり、聖地巡礼でも思ったことをストレートに伝えたり。ちょっと見方が違うと“おせっかい”だったり、“めんどくさい”人に思われるかもしれないが、閉じこもりがちな鴇を変えられたのはツグミだからこそ、とも感じたし、筒井の繊細な演技には感嘆した。 一つの“青春”を描いた物語であり、配信後のSNSには「人の関わりの中で生まれる繊細な心の揺れ動きが描かれていて感動した」「独特の感性の中で、心の葛藤を丁寧に表現されていたのが良かった」「悠理ちゃんらしい繊細で優しくて温かい物語でした」「4期生のみんなが出演していたので、より青春感が感じられました」などの感想が上がっている。 「しあわせなんて、なければいいのに。」は、ドコモの映像配信サービス・Leminoで独占無料配信中(無料期間は5月24日[金]朝11:59まで)。 ◆文=田中隆信