山田孝之×仲野太賀が語る“トラウマレベル”の過酷な白石組現場とは?
山田 今回の現場は、僕にとってもとても刺激的でやりがいのある現場でした。太賀の芝居は、最初から最後まで本当に素晴らしかったですし、撮影中の太賀は、本番直前まで雑談で皆を盛り上げながら、本番に入るとあの気迫なので、すげぇな!と思って。そのオンオフの切り替えも、見ていて気持ちよかったです。 待ち時間によもやま話で盛り上がりすぎて、録音部さんから怒られたこともありますけど(笑)、それは、撮影があまりに過酷で、役者たちは待ち時間にワイワイしゃべることで気を紛らわすしかなかったからで。 仲野 待ち時間の雑談でバカ話をすることで、なんとか乗り切りました(笑)。 ── キレのある殺陣や爆発シーンなどアクションもふんだんですが、特に苦労されたのはどういったシーンですか? 山田 いろいろありますけど、たぶん、一番慎重になったのは立ち回りです。もちろん本物の刀を振り回すわけではないのですが、本気でやれば刺さるし斬れる。 殺陣のシーンは何十手も先まで動きが決まっていて、仮に1人のタイミングが0.1秒ずれたら、そこから15手先にはズレが1秒になるかもしれず、そのズレた1秒によって刀がバン!と顔に当たる危険性もあるので。 仲野 アクションシーンは緊張感のある撮影がずっと続いて、怖いし、当たれば痛いし、夏だったのでとにかく暑くて、やってる時は常にひりひりする感じでした。
山田 アクションシーンが無事終わった時は、「みんな、怪我がなくてホントによかった」という安堵が一番大きいです。 暑いと言えば、僕が演じた政の格好は、下はふんどし、上がマットを切って作った半纏だったので、重いし、暑いし、マットだから(もそもそして)かゆいし、さらに、劇中で“ある液体”をかぶって以降はず~っと臭かった(笑)。 仲野 僕は、物語の中盤ぐらいに出てくる、暴風と雨の中で作戦に臨むシーンを数日かけて撮影したのが強烈でした。普通、〝雨降らし〟というと、大体1発本番でワンカットだけ撮るような撮影が多いのですが、今回は長いシーンだったこともあり、一日中水浸しのまま全力で撮影。過酷に過酷を極めました。 山田 最初に台本を読んだ時点で覚悟はしていたけど、いざ現場に入って体現するとこんなにも辛いんだ、と思うほどで。当時の本物の戦も、戦装束で泥まみれになって戦う本当に苦しいものだったんだろうと想像したし、その過酷さを実感しながら演じました。 ── 山田さんは、白石監督とは『凶悪』(2013)以来の再タッグですが、11年の間にも交流はあったのでしょうか。 山田 実はその間、別の企画が持ち上がりましたが、実現に至りませんでした。僕にとって、過去にお仕事をした監督からもう1回オファーをいただけるのは本当にうれしいこと。今回も、心身ともに相当苦しい撮影になるだろうなと思いましたが、やりたい気持ちのほうが断然強かったです。