「危険ドラッグにハマる理由は性的欲求」 『脱法ドラッグの罠』著者・森鷹久氏に藤井誠二が聞く(第3回)
藤井:そうすると、もうこれは危険ドラッグを売る側とホテルが共犯関係というか、かなりそういった形ですぐに手を出せるようなところにそういうものが置いてあったり、買えるようになっていると。そういうシステムがもうできてるってことですね。 森:大手のメディアさんだとかでは、あんまり当然こういうことは言えないし、しゃべれないとも思うんですけど、ドラッグの根本的な、ドラッグをやってしまう続けてしまう人たちの根本的なところに、絶対そういう性的快楽の追求があります。当然ドラッグを販売してる側の人間もそれは分かってるわけですから、やはり需要のあるところに置いたりするんだろうなと思います。 藤井:いっときは、例えば音楽をクラブで聞くとき、例えばハウス系の音楽とかのときに必ず付き物みたいな、そういうイメージもあったけど、セックスとか快楽の以外にも、そっちのほうの目的も今でもあるんですか。 森:あると思います。つい2~3日前だったかな、割と最近の話だと思うんですけど、群馬の少し田舎のほうでいわゆるレイブという野外パーティー、音楽パーティーがひらかれて、それで割と皆さんドラッグをやってて、それでたくさん捕まったというようなこともあったんです。あとはヨーロッパのほうで、いわゆる日本に入ってくる前に、そういうパーティーシーンで危険ドラッグが吸われてたという話も聞いてます。 藤井:つまりは、先ほどの話だと規制をどんどんかけていく、その規制もどんどん後手後手に回ったけれど、そのまた規制をかいくぐるようにして新しい成分がっていって、もう全然別物の劇薬になってしまっている。 森:別物だと思います。
藤井:この状態を防ぐことや、規制を強めたり、捜査をしやすくして法を整備したりして、それを警察や厚生労働省は止めることができなかったんですか。今のような展開になることは予想できなかったんですかね。 森:完全に法律が追いついてないんです。法律を作る、条例だともう少し早いかもしれないんですけど、やっぱり物事を禁止するっていったときにいろんな議論があって、そのプロセスを経て禁止するなり、条例で制定するなりという手続きが必要になります。危険ドラッグに関しては新しいドラッグが出てくるサイクルが早すぎて、もうまったく追いつかない。はたから見てると当局側は見過ごしているようにしか僕も最初は感じなかったんですけど、実態を見ていくうちに、もう、これは(手続き的に)どうしようもないんだなとわかりました。で、いまだに、(危険ドラッグが)なくならないっていうのは、この先もなくなんないんじゃないのかなと思います。 藤井:よくニュースで、行政の担当者が危険ドラッグを店に買いに行って分析して、法律化して禁止する、あるいは条例で禁止をするという手間隙のかかる手続きをやっているうちに、次のものが出るというようなニュースを見たことがあるんですけど、そのぐらい禁止する側の取り組みが遅いということですか。 森:遅いというよりは、やはり、(買ったドラッグを)研究機関に持ち込んで検査するにもやはり時間がかかりますし、合成カンナビノイドっていうものも本当に種類が無数にあるんですね。日本ではそういう研究が、おそらく海外に比べて進んでないので、より多く時間を割かなければならないということになっているんだと思います。