ティファニーの懐中時計が3億円以上で落札!? 悲劇の豪華客船「タイタニック号」の遺品が歴史的な価格に
●生存者から贈呈された歴史的な背景を持つ懐中時計
1837年にニューヨークのマンハッタンに259番地に創業し、世界有数のジュエリーブランドのひとつして数えられるティファニーは、英国で開催されたオークションにて出品されたタイタニックまつわる懐中時計を、過去最高額となる197万ドルで落札しました。 【画像】「えっ…!」これが特別なティファニーの懐中時計です(8枚) 197万ドルは現在のレートで日本円に換算すると3億円以上と非常に高額ですが、このような価格になった理由は、この懐中時計にタイタニック号の悲劇という歴史的な背景があるからに他なりません。
タイタニック号と言えば映画化されたこともある、イギリス船籍の豪華客船。1912年、乗員と乗客を合わせて2000人以上の人々を乗せ、イギリス・サウサンプトン港からニューヨークへ向けて処女航海に出港するも氷山に衝突し沈没。多くの犠牲者を出す歴史的な大惨事となりました。 この事故の遭難信号を受け取り、救助に向かったのがカルパシア号の船長アーサー・H・ロストロン船長で、この悲劇的な事故で助かった人々は約700人。生存者がいたのは自らの危険を顧みず、救助に向かった船長の決断が大きかったと言われています。 その勇気ある行動に感謝の意を込めて、この事故の生存者であるマデリーン・タルメージ・アスター夫人、マリアン・ロングストレス・セイヤー夫人、エレノア・エルキンズ・ワイディーナー夫人の3人の著名な女性から贈られたものが、今回、落札された懐中時計。 ザ ティファニー アーカイブに所蔵されている台帳には、3人の女性のうちのひとりG・D・ワイディーナー夫人がこの懐中時計を購入したことが記されています。 懐中時計には「1912年4月15日、タイタニック号の生存者3名より、心からの感謝と敬意を込めてロストロン船長に贈呈。ジョン・B・セイヤー夫人、ジョン・ジェイコブ・アスター夫人、ジョージ・D・ワイディーナー夫人」の言葉が刻まれており、ケースバックには船長のイニシャル「AHR」がエナメル モノグラムで記されています。 この懐中時計はアスター夫人がニューヨークシティの邸宅で主催した昼食会で、ロストロン船長に贈られました。タイタニック号の生存者仲間たちが集まった親密かつ有意義な会として、当時の地元紙で報道もされています。 「ティファニーのジュエリーやオブジェは、19世紀半ば以来、世界のラグジュアリーの礎となってきました。ロストロン船長の懐中時計は、感謝の気持ちを表現した素晴らしいアイテムであり、この特別な宝物を再びティファニーに迎えることができて、身の引き締まる思いです」 ティファニーのクリエイティブ ビジュアル マーチャンダイジング、イベント及びアーカイブを統括するヴァイスプレジデントのクリストファー・ヤングはこのように述べています。 また、今回この時計のオークションを主催したオークションハウス、ヘンリー・アルドリッジ・アンド・サンのマネージング・ディレクター、アンドリュー・オルドリッジは、「タイタニック号に乗船していたすべての人たちには語られるべき物語があります。私たちは彼らの思い出の品を通して、100年の歳月を経た物語を語っているのです。このウォッチはアーサー・ロストロン卿の勇気と、タイタニック号で最も大きな影響力をもっていた3人の男性の未亡人らから彼への敬意の証です。ティファニーがこのピースを販売してから112年後にティファ二-が買い取ったという事実は、一つの物語が完結し、この時計が故郷に帰ってきたことを示しています」と述べています。 今回、ロストロン船長の懐中時計を入手したことで、長年受け継いできた愛や永遠の絆を称える遺産を、さらに高めるものとなったティファニーのアーカイブ。この懐中時計はウォッチとクロックの小売りをスタートさせた、1847年まで遡るティファニーが誇る時計製造の遺産を象徴する重要なシンボルです。
VAGUE編集部