山口まゆ、ターニングポイントになった中学生の妊婦役。“若き演技派”と称されるほどの反響も「あれを超えるように頑張らなきゃ」
本物の赤ちゃんを見て気持ちに変化
2015年、山口さんは『コウノドリ』に出演。このドラマは、医師であり天才ピアニストでもある産婦人科医・鴻鳥サクラ(綾野剛)が、出産をめぐるさまざまな奇跡や難問に直面する患者たちと真摯に向き合いながら奮闘する姿を描いたもの。 山口さんは、中学2年生で妊娠、出産する吉沢玲奈役。妊娠したことにも気づかず、バスケットボール部の練習に励んでいたが、練習中に倒れて妊娠8カ月であることが発覚する。お腹の子の父親・元倉亮(望月歩)も同級生。2人ともまだ中学生のため、誰が赤ちゃんを育てるのか決まらないまま出産することに。 ――あの役が来たときはどう思いました? 「マネジャーさんに『この役、頑張りましょう!』と言われて、『はい!』と頑張った記憶があります。 妊娠ということもあって難しい役だったので、すごく構えていました。それこそ、志田未来さんが主演した『14才の母~愛するために 生まれてきた~』(日本テレビ系)というドラマを全話見て勉強したりしていたのですが、『大丈夫かな?大丈夫かな?』と思いながら撮影していました」 ――妊娠の知識も何もない中2の女の子が、出産が近づくにつれてだんだん変わっていく様がとてもよく出ていてすごいなと思いました。 「ありがとうございます。そこが一番不安だったので、うれしいです。吉沢玲奈ちゃんが母親になるために、どういう風に変わっていくかの実感が自分の中に必要だったので、あのときは日記をつけていました。 出産のシーンを撮影する前日に、『明日生まれる』という日記を書いたんですよ、自分で。実際にはいないけど、気持ちの流れを結構大事にしていました」 ――出産シーンもかなり大変だったと思いますが、いかがでした? 「大変でした。YouTubeで出産シーンをドキュメンタリーみたいな感じで出している方がいたので、それを見てその人の真似をしました。『こんな風になるんだ。一からやってみよう』って。 私は出産シーンのときに涙が全然出なくて、終わった後『全然ダメだった…』と思ったんです。マネジャーさんにも『涙がこぼれないね』って言われていたので。でも、反響が大きかったので、びっくりしました」 ――すごくリアルで違和感がなかったです。 「ありがとうございます。でも、いまだによくわからないですね。ただひとつ言えるとしたら、あの撮影のときに本当の赤ちゃんがいたんです。その赤ちゃんを見たときに、自分の中で何かスイッチが入った感覚がありました」 ――出産した直後、ほんの短い時間赤ちゃんを抱くことができますが、すぐに里親さんのところに連れていかれて引き離されてしまう。あのシーンは胸に迫るものがありました。 「うれしいです(笑)。お話がすごく良かったというのもあるんですけど、やっぱり実際に赤ちゃんを目の前にして湧いてきた感情もたくさんありました」 ――『コウノドリ』のあの回はかなり話題になりましたね。 「いまだに言っていただけることは素直にうれしいです。以前は『あれを超えなくちゃいけない』とか、『あれ以上できないかもしれない』とか、すごく自分自身が気にしていたり、事務所の人にも言われたりしていたので、すごく意識しすぎた時期もありました。 自分の中で課題作品みたいに思えていたのですが、最近は『これだけ人に届いた作品もすごいかも』という風にやっと思えるようになってきました(笑)」 ――まだ早い時期にすごく絶賛される作品があると、それはそれでプレッシャーにもなるかもしれないですね。でも、そういう作品があるということは大きいと思います。 「そうですね。あれは、あの当時にしかできなかったなって思います。間違いなくターニングポイントになった作品です」 ――少女から大人になりかける、あの時期だからというのはあるでしょうね。 「はい。作品との出会いとタイミングなど、すべてがガチッとハマッた、自分にとっての財産と言える作品ができて良かったですけど、これからも頑張っていかなきゃなって思っています。あれを超えるように」