【中編】若年層にのしかかる費用負担…無痛分娩への賛成は8割超でも実施率1割以下にとどまるワケ【独自アンケート】
また、「費用が無償ならば、無痛分娩を選ぶ」と答えた人は、全体の43.6%にのぼり、特に、実際にこれから出産する可能性が高い20代・30代では5割前後と高い。出産への意志と費用の関係については、「自然分娩の費用すべてが医療保険や税金でまかなわれる場合、出産したい(パートナーに出産してもらいたい)」と答えた人が56%にのぼるのに対し、「無痛分娩の費用すべてが医療保険や税金でまかなわれる場合、出産したい(パートナーに出産してもらいたい)」も50.1%を占めた。
田辺准教授は「子育てにお金はかかるので、無痛分娩の費用が無償になったから出産するという短絡的なものではない」としつつ、フランスでは、無痛分娩が全額保険負担になった翌年の1995年から合計特殊出生率が回復し始めたという事実をあげ、「あくまでも手厚い子育て支援施策との抱き合わせが必須ではあるが、日本でも無痛分娩の無償化は、出産を後押しするかもしれない」と話している。
■無痛分娩が広がらないもう一つの理由は?
田辺准教授は無痛分娩が広がらない理由についてもう一点、指摘する。「無痛分娩を取り扱う医療施設数において、都市部と地方との間に顕著な差が生じている」という点だ。そこには、無痛分娩ができる麻酔科医が不足する現状があった。(後編につづく)
<調査方法について>
本調査は、2023年6月21日(水)~22日(木)に、大手リサーチ会社に登録したモニターを対象に行い、20代以上の男女1054人から有効回答を得ました。年代、性別、居住規模については国勢調査の割合に近づけて行いました。なお、原則として小数点第2位以下を四捨五入しているため合計と内訳の計が必ずしも一致しません。 監修:神奈川県立保健福祉大学・田辺けい子准教授 協力:JX通信社