ファイルーズあい、“奇妙な縁”「ジョジョ」徐倫など人気キャラ多数担当「スター・ウォーズ」最新作では“一人二役”演じ分け
毎週水曜に配信中の「スター・ウォーズ」最新オリジナルドラマシリーズ「スター・ウォーズ:アコライト」は、映画「スター・ウォーズ/ファントム・メナス(エピソード1)」より約100年前、ジェダイ黄金期と呼ばれる時代が舞台となっている、まさに原点的な作品。アマンドラ・ステンバーグ演じる主人公のメイもまだ多くの謎に包まれており、今後の展開が気になるところだ。そんなメイ、そして双子オーシャの日本版声優を務めているのがファイルーズあい。メイの内に秘めた芯の強さなどをうまく表現しているファイルーズのこれまでのキャリアを振り返る。 【写真】腰の位置が高過ぎ…!ファイル―ズあいの全身ショット ■「ジョジョの奇妙な冒険」との出会い エジプト人の父親と日本人の母親を持つ、東京都出身のファイルーズ。小学5年生から卒業するまでの間はエジプト・カイロの日本人学校に通い、中学校入学と同時に日本に帰国。中学生の頃からアニメが好きで、声優になりたいという漠然な思いを抱いていたが、その夢を具体的にしてくれたのが「ジョジョの奇妙な冒険」だったという。しかも最初に読み始めたのは、後に自身が主人公・空条徐倫の声を担当することになる第6部「ストーンオーシャン」という奇妙な縁が。途中からなので分からないことは多かったものの、徐倫のかっこよさに引かれたという。その後、第1部から読み直し、高校1年の時に「ジョジョ」の朗読会にも参加するほど、ハマっていった。 高校卒業後、グラフィックデザイナーの専門学校に通い、3年目に“本気で声優になりたい”と思うようになるが、専門学校を卒業し、一度就職してから声優養成所に入所。その後2019年7月から放送されたアニメ「ダンベル何キロ持てる?」の主人公・紗倉ひびき役を務めた。オープニングテーマ「お願いマッスル」も街雄鳴造役の石川界人と共に担当。初めてオーディションで合格した作品が「ダンベル何キロ持てる?」で、しかも主演、オープニングテーマまで担当することになり、この作品が声優・ファイルーズの大きなターニングポイントとなった。「第十四回声優アワード」で新人女優賞を受賞している。 2020年には女性地下アイドルグループと彼女たちを応援するファンたちを描いた「推しが武道館にいってくれたら死ぬ」(2020年、TBSほか)で、主人公・えりぴよの声を、「キラッとプリ☆チャン」シーズン3(2020-2021年、テレ東系)でアリス・ペペロンチーノ/輝アリスの声を担当した。“プリキュア”シリーズの「トロピカル~ジュ!プリキュア」(2021-2022年、テレビ朝日系)で主人公・夏海まなつ/キュアサマーを担当しているが、これもハマり役の一つとなっている。他に、Paraviオリジナル「最愛のひと~The other side of 日本沈没~」(2021年)で実写ドラマに初出演した。 ■憧れの徐倫役に! 2021年、声優になりたいと思うきっかけの「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」の主人公・空条徐倫役に決定。Netflixで先行配信された後に、2022年1月から地上波でも放送された。同年10月から放送されたアニメ「チェンソーマン」でパワーの声を担当しているが、徐倫やパワーのような強くてかっこよくて、個性の強いキャラというのが、ファイルーズの声に合っている。2023年以降も出演する作品の幅を広げ、表現もさらに豊かになっている。 アニメだけでなく、洋画・海外ドラマの吹替でも個性を発揮。ドラマ「ミズ・マーベル」では主人公カマラ・カーン(イマン・ヴェラーニ)の親友ナキア(ヤスミーン・フレッチャー)の日本版声優を担当。映画では「THE BATMAN-ザ・バットマン」のセリーナ・カイル/キャットウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)、公開中の話題作「マッドマックス:フュリオサ」でアニャ・テイラー=ジョイ演じるフュリオサの声を担当。このあたりのラインアップを見ても、強いキャラクターが合っているのが分かる。 6月12日に第3話がディズニープラスで配信された「スター・ウォーズ:アコライト」は、正義の守護者ジェダイが銀河に多く存在し、戦争もなく平和であった“光”の時代の物語。ある日、ジェダイの一人が殺害される事件が発生。真相を追うために動きだしたジェダイ・マスターのソルは、かつて自分の弟子であったメイと再会することでひそかに動きだしていた“巨大な闇”に立ち向かうことになる――というストーリーが描かれる。 ミステリアスな物語である本作の情報秘匿のため、ファイルーズは現場に行くまで何の作品のオーディションかすらも知らされていなかったという。 今後展開していくストーリーの中で、強さがありつつ、陰の部分も見え隠れしているメイと性格が全然違う双子のオーシャをどんなふうに演じ分けていくのか楽しみだ。 ◆文=田中隆信