「まだまだ弱いんだなと…」世代交代の過程で苦闘を続けるSAGA久光スプリングス 気丈な24歳ミドルブロッカーが流した涙の意味
世代交代の意識
21年の優勝メンバーで、セッターの栄絵里香(33)は健在ながら、米国代表のミドルブロッカーで東京五輪金メダリストの「ルーク」ことアキンラデウォは退団。オールラウンダーで攻守の要だった石井優希さん、キャプテンでリベロの戸江真奈さんはユニホームを脱いだ。アタッカーとして飛躍を遂げた井上愛里沙(29)は姫路でプレーし、今大会の最優秀選手に輝いた。そしてSAGA久光の中心選手に成長した平山は意を決して臨んだ大勝負でチームを頂へ導けなかった。 皇后杯で優勝した21~22年シーズンは、勢いに乗ってV1リーグ(現SVリーグ)でも栄冠をつかみ取った。ただ、その後は国体、国民スポーツ大会での連覇こそあるものの、ビッグタイトルの皇后杯やリーグ戦の歓喜からは遠ざかっている。今季のSVリーグも波に乗れない状況が続き、現在10勝8敗の7位(14チーム中)にとどまっている。 「世代交代」の途上にあるスプリングスについて、平山は以前語ったことがある。「チームでの(世代交代の)意識は芽生えています。荒々しくて、安定性を欠くところもありますが、そういった部分も逆に見ていただきたいんです。その中で自分たちがやっていることに責任を持って、お金を払って見に来てくださる方に勝って恩返しができるようにしないといけない」 今回の失意の決勝後、平山はコートでともに戦った深澤と北窓についても触れた。「レフトのメンバー(5人)の中で若手2人が選出されたのは…選ばれてそこに立っている。消去法でも何でもない。先発は2人が勝ち取ったもの」。勝利と育成の両立は選手だけの課題ではない。この難題に真正面から向き合い、自力で乗り越えていくしか道は開けない。皇后杯決勝での言いようのない悔しさ、涙の銀メダルを、28日から再開するSVリーグへの糧にしてくれるはずだ。 スプリングスはきっと強くなるだろう。そうあってほしい。(西口憲一) 【#OTTOバレー情報】
西日本新聞社