少子化対策の財源確保が争点、負担増に論戦欠かせず 歯止めかからぬ一極集中、予算倍増にばらまき批判も【衆院選2024】
「もう一度原点に返り、地方創生をリニューアルしてやっていきたい」。石破氏は10月1日の首相就任会見でこう力説した。地方創生の交付金を当初予算ベースの1千億円から倍増し、中央省庁の地方移転や地域交通の確保を進める方針だ。「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設し、今後10年間の基本構想を策定する。 ▽焼き直し 地方創生が本格化したのは、第2次安倍政権下の2014年。民間団体「日本創成会議」が全国896自治体を「消滅可能性都市」として公表したのがきっかけだった。 安倍晋三首相(当時)は「まち・ひと・しごと創生本部」を新設し、初代担当相の石破氏を中心に、地方移住の促進や地方大学の活性化などに取り組んだ。ただ中央省庁の地方移転は文化庁の京都移転などごく一部が実現しただけで進んでいない。このため「成果が上がらなかった政策を焼き直すのか」といった声も上がっている。 東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)では2023年、転入者が転出者を上回る「転入超過」が前年比約2万7千人増の約12万7千人。新型コロナウイルス禍で一時減ったものの、収束後は就職や進学に伴い若者が東京に集中する傾向が再び加速している。
▽露骨 政府は今年6月に地方創生10年間の検証を公表。地方への移住者増加など一定の成果はあったとしつつ「人口減少や東京圏への一極集中の大きな流れを変えるに至らなかった」と総括した。 地方からは交付金の倍増を歓迎する声もある一方、ある政府関係者は「政策の議論もせず、露骨な選挙対策のばらまきだ」とあきれる。 野党も特色ある対策は打ち出せていない。ある東海地方の市長は「与野党とも既視感のある対策ばかりで、期待外れだ」と冷ややかに見る。