障害者への「合理的配慮」義務化 どこから“過重な負担”? グレーゾーンとの向き合い方
障害のある人への合理的配慮について、世界ゆるスポーツ協会代表理事の澤田智洋氏は「車椅子の友人と一緒にレストランに行った際に車椅子という理由だけで頭ごなしに拒否されることがある。理由を教えてくれれば納得できる場合もあるし、こちら側から『では、こういう工夫ができますよ』と伝えるなど、対話が始まる。そういう当たり前のコミュニケーションをまずさせてもらえないでしょうか、というのが基本的な考え方だと思う」と問題提起する。 義務付けられる合意的配慮については、事業者側の「過重な負担にならない範囲で」と定義されているが、この考え方については「例えば飲食業であればお店の規模や従業員数、時間による混雑状況などによって一律には言えないと思うが、『過度な無理はしない』というのが、この合理的配慮の考え方。例えば食事やトイレの介助を依頼された時にそこまでの人的余裕がないのであれば、断ることができる」と説明。 「その都度、お互いに最適な判断をしていく」とした上で、対応の可能性についても指摘する。「例えば、『車椅子が大きくて他のお客さんがお手洗い行くときにぶつかる心配がある』という場合は、テーブルや椅子を少し移動させれば解決できることもあるし、段差があって入り口に入れないのであれば、高いものでなくとも、折りたたみ式の簡易スロープを購入・設置するといった対応もとれる可能性がある」と述べた。
さらに澤田氏は「極端に『配慮できる・できない』といった白黒で判断しているケースが多くみられた」と指摘する。 「実は少しの工夫で解決するようなグレーゾーンがたくさんある。今回の義務化はその点について考えるいい機会だと思う。ただ、事業者側だけで考えても見当はずれなアイデアになってしまうので、目の前にいる障害のある方に実際に『どうすればできるのか』『過去どうやったらできたのか』というヒントをもらいながらできる方法を検討する。それでもその結果対応が難しい場合もある。対話を重ねていって、感情ベースではなくファクトベースで対話することが大事だと思う」と指摘。
「例えば、カウンターしかない狭い店で車椅子の方がどうしても入れなかった場合、お店の改築までしなくても、例えばテイクアウトができるようにして、入店はお断りせざるをえなくてもテイクアウトを提案する、といった方法も考えられる。必ずしもお金をかける必要もなく、答えは一つではない。そんな前提で考え続けることで社会全体の空気感が良くなっていくのではないか」と期待を示した。 (『ABEMAヒルズ』より)