新たな感染症に対応 司令塔となる組織の略称「JIHS」に…来年4月発足へ
新型コロナウイルスのような新たな感染症に対応するため、政府は、世界中の情報を集めて分析し、研究や治療薬開発などの司令塔となる組織を立ち上げることになっていますが、その略称が「JIHS(ジース)」と決まり、来年4月に発足すると発表されました。 新型コロナ流行の際、日本には感染症に関する情報収集や分析を一元的に担う組織がなく、対応が不十分だったとして、アメリカのCDC=疾病対策センターのような専門的組織が日本にも必要だという議論がありました。 そこで、政府は、ウイルスの研究などを担ってきた国立感染症研究所と、感染症研究に加え、新たな感染症発生時に患者の治療も行ってきた国立国際医療研究センターを統合し、新たな組織である国立健康危機管理研究機構を立ち上げることを決めています。 その新組織について、略称を「JIHS(ジース)」とし、来年4月に発足すると、武見厚労相が9日、発表しました。 新組織のあり方を検討してきた準備委員会がとりまとめた報告書によりますと、新組織は感染症の研究や治療で世界トップレベルを目指すとしています。 組織の中心は、「危機管理総局」で、平時・緊急時ともに、国内外の感染症の最新情報を集めて分析。リスクを評価し政府に報告するとともに、科学的な情報を国民に発信する役割も担うということです。 新組織は、科学的な分析や評価を行いますが、緊急事態宣言を発出すべきかどうかなど政策決定は政府が行うため、役割分担が明確になります。 また新組織は、感染症について基礎研究から臨床応用までの企画立案や、製薬会社などと調整し、最新のワクチンや治療薬の開発計画なども作ります。さらに、新たな感染症流行時には、最新の知見や治療法をまとめるほか、各地の病院に医療支援なども行うということです。 新組織の詳細は、今後作られる「実行委員会」で検討され、理事長の人選も今後行われます。 なお、国立国際医療研究センターの病院部門は新組織にも残り、感染症以外の治療も継続するということです。