隠蔽工作疑惑を明らかにした貴乃花激白を相撲協会は看過、無視していいのか
前出の荒井氏も、「本人は混乱を避けるためにこれまで沈黙を守ったと説明しています。話の中身も一本筋の通った説得力のあるものでした。でも、なぜ今?マスコミに?との疑問もあります。マスコミに対して沈黙を守るのはいいとして、信念は曲げることなく、協会内で自身の正当性を訴えていく方法はあったようにも思えます。こういう形で意見を述べるのではなく、理事会等、もっと議論すべき場所で口を開くべきだったような気もします」と指摘する。 一説によると今回の番組出演を協会側が許可していなかったともされる。もしそういう“つっこみどころ”が、貴乃花親方側にもあるとすれば、逆にペナルティ対象にもなるし、なおさら協会側は、“公式発言ではない”ことを理由に看過、無視することも可能になる。 この告発手法が決して正しかったとは言えないことは事実だろう。しかし、すでにSNS上のファンの反応も含めて協会には、強烈な逆風が吹く。協会の自浄能力を問われる問題提起でもある。 たとえ公式な告発でないとしても、協会側は、もう一度、貴乃花親方から発言内容を確認し、隠蔽工作疑惑に関しての内部調査を進めるなり、なんらかのアクションは取るべきだろう。それくらいの問題意識の高さを見せなければ協会は一連の騒動で失った信頼は取り戻せない。 3月下旬に理事長選挙が迫っていて、残り任期は少ないが、この隠蔽工作疑惑について、シロクロをつけなければ、八角理事長の責任を問う声は大きくなる。新たに立候補するか、どうかの是非が議論される問題にまで発展するかもしれない。 しかし、荒井氏は「もし事実であれば、その責任を問われる問題だと思います。その問題にどう対応するかも重要です。3月下旬に理事長選挙がありますので、その際に執行部も一新して出直そうと考えているのかもしれません。でも、八角親方の対抗馬となる人材もいません。無選挙になる可能性もあります」と危惧する。 貴乃花親方は、わずか2票しか獲得できずに理事候補選挙で落選したが、もし当選していれば間違いなく理事長選挙に出馬していただろう。そうなれば、協会の体質をどう変えていくか、も議論になっただろうが、今のところ、八角理事長の対抗馬に名乗りを上げる人物は見当たらない。筋論から言えば、貴乃花一門から出た阿武松親方が出馬すべきだろうが、その動きはない。 もし、次の理事長選が八角理事長への対抗馬のないまま、無投票で再任となれば、結局、貴乃花親方が発言しようが、理事候補選に出馬しようが、協会の体質は、何も変わらないということを世間に示すような事態にもなりかねない。 荒井氏は、「貴乃花親方が勝てないことがわかってあえて出た理事候補選は、結果的に選挙となり世間の厳しい目にさらされることなく、逆に公平さをアピールする意味で協会を助けるような形になりました。この反響も、今回マスコミに口を開いた理由だったのかもしれません」と推測するが、貴乃花親方の遅すぎた激白の背景には、迫る理事長選に対するメッセージが込められていたのかもしれない。