GK策略に「乱されることがなかった」 座り込み&踊り…“珍プレー”に動じないPK練習の成果
「PKの2部練習」も実施…監督が成果に喜び
長らくコーチを務め、今春指揮官となった卒業生の平岡道浩監督は「PK戦になっても後藤は大柄なので、(ゴールの幅が)7メートル32センチではなく(相手にとっては)6メートル、5メートルの感覚ではないでしょうか。甘いボールさえ止められればと思っていた。やっぱり大きいキーパーがいると違いますね」と喜んだ。 キッカーの側に立ったPK練習にも余念がなく、試合の1週間前から練習するそうだ。平岡監督は「PKの2部練習の成果が出ました。ゴールポストのライン上に正確に蹴るトレーニングですね。(相手GKの陽動作戦もあったが)キッカーはしっかりコースに蹴るだけでした」と慌てず騒がず、沈着冷静にJリーグのGKでも手の届かないコースに打ち込んだイレブンを褒めた。 0-0というスコアだけを見たら平凡な試合と勘違いされそうだが、今年はともに高校生年代最高峰のプレミアリーグで戦った一線級の選手が勢ぞろいしたチーム同士の決戦だ。たとえPK戦であっても、心理戦を含めた厳しい戦いとなり、見事に制した東福岡は2回戦以降、さらに強くなって正智深谷(埼玉)に立ちはだかることだろう。 指揮官は「今日は0-0か1点差の試合になると思っていた。PK戦は想定していなかったが、みんなが自信を持ってしっかり自分のコースに蹴ることができた」と言い、相手GKの“珍プレー”に惑わされなかった選手のメンタルの強さが誇らしそうだった。 [著者プロフィール] 河野正(かわの・ただし)/1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。
河野 正 / Tadashi Kawano