写真でおさらい! 第60回ヴェネチア・ビエンナーレの見どころをARTnews JAPAN編集部が現地レポート
業界内外の人々が集う社交の場
世界最大の芸術祭のひとつ、ヴェネチア・ビエンナーレが4月20日に開幕した。ブラジル・サンパウロ美術館(MASP)の芸術監督、アドリアーノ・ペドロサが総合ディレクターを務める今回のビエンナーレのテーマは「Foreigners Everywhere(会場では「どこでも外国人」と表記されていた)」。アウトサイダーや外国人など国境を超えて活動するアーティストへスポットライトを当て、多種多様な作品が展示されている。 【写真】編集部による現地レポート 開催前の4日間にわたって行われたプレビューは、多くの来場者で賑わっていた。この期間は社交的な機能も強く、アート関係者はもとより、ファッションブランドやラグジュアリーブランドの関係者など業界内外の人々が多数来場。人気パビリオンの入館待ちの行列や、エスプレッソやアペロール片手に多くの人で賑わう会場内の飲食スペースでは、誰もがどの作品がよかったなどビエンナーレの感想を交わしあっていた。 島内の各所では趣向を凝らしたパーティが開催され、日本もギャラリー主催のオープニングパーティだけでなく、オーストラリアやシンガポールとの合同パーティも開催していた。ヴェネチア市内のレストラン、La Caravellaで開催されたオープニングパーティの様子を見ても、ビエンナーレが重要な交流の場であることがわかるだろう。
より多様化するアーティストと作品群
「ジャルディーニ」と「アルセナーレ」のメイン展示で展開されたのは、今回のテーマ「Foreigners Everywhere」に沿った展示の数々だ。多くの展示が、先住民や少数民族、移民、難民、アウトサイダーなどさまざまなバックグラウンドをもつアーティストや題材にフォーカスしていた。「Milk of Dreams」をテーマとする前回のビエンナーレがスポットライトを当てたジェンダーやセクシャリティの論点も踏まえ、より多様なアーティストの作品が紹介されていた。
なかでも目立ったのは、地域の伝統的な技法やその影響を感じさせる表現と、テキスタイルを用いた表現だ。さまざまなアーティストや作品が一堂に会することで、共通点や差異が際立って見えたのもビエンナーレならではのキュレーションの醍醐味だろう。 ビデオアートやインスタレーション作品においては、パフォーマンスや過去の史実に踏み込みながら複雑なナラティブを表現するものが印象的だった。
ARTnews JAPAN