近年、お墓の引っ越し=「改葬」が増えているが…寺院墓地からの改葬で起こりがちな〈問題〉とは?【相続の専門家が解説】
お墓の準備はあせらず自分に合った選択を
故人のお墓を新しく用意するためには、多額の費用や手間がかかるので、急いで行わず一周忌や三回忌を目処にじっくりと考えて進めましょう。 なお、新しいお墓の場所を決めるために親族の同意が必要な場合は、葬儀や四十九日など親族が集まる法要の機会に、あわせて相談しておきましょう。お墓の場所を絞り込んだら、決定前に訪問し、混雑する時期や景観、荒天時の状況などを確かめましょう。 また「寿陵」といって、生前に自分のお墓を買うことも可能です。「寿陵」は長寿や子孫繁栄を招くともいわれています。また、お墓には相続税がかからないので、節税対策にもなります。 お墓を新しく建てるのではなく、場所を変えることを「改葬」とよび、遠方で墓参りが難しいなどの場合に、遺骨だけ、もしくは遺骨と墓石を新しい場所に移すことができます。改葬には従来のお墓がある市区町村役所とそのお墓の管理者、そして移す先のお墓の管理者へ書類を提出する必要があります。 手続きは難しいものではありませんが、お墓が寺院墓地の場合は注意が必要です。改葬でお寺の収入が減る場合は、難色を示されることもあるため、住職と会って丁寧に説得しましょう。 お墓の費用 お墓にかかる費用は、共用部分の管理を行うための管理料が年間5,000円~3万円、墓石・工事費が70万円~。墓地の土地を利用する使用料が20万~100万円で、合計90万円以上が目安になります。 墓じまいをする お墓を撤去・処分して、墓所を更地に戻すことを「墓じまい」といい、「魂抜き」とよばれる法要をあわせて行います。近年は管理者がいなくなるなどの理由から、墓じまいをするケースが増えています。 曽根 恵子 株式会社夢相続 代表取締役 相続コーディネイター