次世代AIの「Illuminate」、加速・支援・変革の3ステップでAIを活用 　今回のRisingイベントの中心はAIにある。「Workdayは、10年がかりでAIの開発を進めてきた」とBhusri氏。2013～15年はビックデータと機械学習に取り組み、「Workday Talent Insights」「Professional Services Automation」などを発表した。2018年には、ベースをAmazon Web Services（AWS）、Google Cloudに移すことで、クラウドハイパースケーラーの機械学習を取り込んだ。 　2020年には、大規模言語モデル（LLM）への取り組みを開始した。Bhusri氏は、「700億のパラメーターを持つ基盤モデルを構築した」と話す。それらを土台としたのが2023年に発表した生成AI機能になり、「Workday AI Apps」「Workday Extend with AI Gateway」「AI Marketplace」を加えた。その後、AI MarketplaceでのパートナーとなるHiredScoreを2024年に買収している。 　そして、最新が今回のIlluminateとなる。16日の基調講演でEschenbach氏は、Illuminateを「次世代のWorkday AI」と紹介し、「人を支援し、増強することを目的としており、AIと人間の平和的な共存を念頭において開発した」と述べた。 　Illuminateは、「Accelerate（加速）」「Assist（支援）」「Transform（変革）」の3段階で展開する。特徴は、世界最大級かつクリーンな人事と財務に関するデータによって学習し、コンテキストに合わせた支援を行うという。「われわれには7000万人のユーザーがおり、年間8500億件以上のトランザクションがある」（Eschenbach氏） 　Accelerateの段階は、既に提供している約50のAIソリューションになり、ジョブディスクリプション（職務記述書）の作成、契約書の作成や要約といった日常的なタスクを迅速化、効率化する。 　Assistの段階は、先述の新しいUIである「Workday Assist」がメインとなる。ユーザーが自然言語でやりたい作業を行える「AIコンパニオンと位置付ける。人事や財務に関する情報を探す時間は1日最大2時間に及ぶこともあるといい、Workday Assistでは検索と会話形式のインターフェースを提供し、ユーザーのプロファイルや利用履歴などから文脈を理解することで、ユーザーが知りたいことや実行したいことをガイドするという。エクスペリエンス担当シニアアバイスプレジデントのAli Fuller氏は、「UIを再構築する」と話した。 　さらには、「Salesforce Slack」や「Microsoft Teams」と統合して、作業環境の中でタスクを完了できるという。 　最後の段階となるTransformは、仕事を変えるもので、今回のRIsingでは「AI Agent」を発表した。第一弾として人材採用に特化した「Recruiter Agent」、サクセッション（後継者）プランの「Succession Agent」、経費の報告・提出・承認プロセスの「Expenses Agent」、Workdayのビジネスプロセスを合理化する「Optimize Agent」などをそろえた。 　講演でBhusri氏は、「エージェントにより複雑なルーティン処理を自動化できる。自分専用のビジネスプロセスのプロ集団を手に入れるようなものだ」と述べた。複数のAIエージェントを調整しながら使うなどのことも可能という。 　今回のRisingでは、これらの発表に加えて、Evisortと買収で合意したことも発表。非構造データなどのドキュメントを得意とするAIベースのドキュメントプラットフォームで、Illuminateをさらに強化するという。 （取材協力：ワークデイ）