群馬クレインサンダーズ、復調を遂げたコー・フリッピン「自分の時間じゃない時があるからこそ、自分の時間が回ってくる」
「チームメートがダンクできる状況を作ってくれた」
この試合では藤井が21得点、辻が15得点と日本人選手の活躍が目立った。コー・フリッピンも16分49秒と出場時間は長くなかったものの、持ち味を発揮して勝利に貢献した。 今シーズンの群馬はミリングヘッドコーチが指揮をとり、昨シーズンまでと大きくチームスタイルが変わっている。ハイペースでオフェンシブだったスタイルは、ディフェンス重視かつスローペースと真逆な戦い方となった。その中で、フリッピンはシーズン序盤からなかなか実力を発揮できなかったが、12月に入ると先発起用される試合もあり、攻守に渡ってリズムを取り戻している。このフリッピンの復調が連勝にポジティブな影響を与えているのは言うまでもない。 「新しいコーチということで、シーズン序盤は個人的には難しかったです。祐眞や(細川)一輝、JT(ヨハネス・ティーマン)というチームの中で大きな役割を担う3人が入ってきたからこそ、みんながどうすればいいかを理解しなければなりませんでした。でも今はピースがハマってきた感じがあります。自分としても何をしなければいけないかが分かってきてプレーしているので、やりやすくなってきました」 思えば昨シーズンも年明けから先発起用されて、出場時間とスタッツを大きく伸ばした。フリッピンはチーム内での役割や、自分のメンタリティを客観視できている。「長いシーズンでは『自分の時間じゃない時』が必ずあります。その時はプレータイムやスタッツが出ないこともありますが、自分の時間じゃない時があるからこそ、自分の時間が回ってくると思っています。その時に自分がやるべきことをやれるようにフォーカスしています」 この試合でも、まさに『自分の時』が来たと感じさせる場面があった。フリッピンと言えば、昨シーズンにスティール王を獲得した通り、スティールからのダンクがシグニチャームーブだ。しかし、今シーズンはこれまで1本もダンクがなかった。この試合の最終クォーターでスティールを奪うと華麗に宙を舞い、ボーズハンドダンクを叩き込んだ。「コーチからは『しっかりディフェンスをして、ギャンブルはしないでほしい』と言われています。その中でできるスティールはしていきます。今日はチームメートがダンクできる状況を作ってくれたのでトライしました」 チームは東地区2位に浮上し、チャンピオンシップ進出圏内をキープしている。この好調の裏には昨シーズンからの経験が生きていると話す。「苦しい状況からカムバックできない経験が昨シーズンからいる選手の中にはあります。だから何をしてはいけないかが分かっています。分かっているから、やるべきことをやり続けなければいけないし、落ちても上がれるチャンスがあることも分かっていることです。自分たちは信頼し合って、良い形でプレーできているので、結果に繋がっています」 リーグ戦は26試合を消化し中盤戦に入っている。長いシーズンを考えれば浮き沈みは必ずあるものだ。チームスタイルの変化に戸惑いを感じながらも、フリッピンは身体能力を生かしたプレーからチームプレーヤーとして成長している。昨シーズンの悔しい経験を糧にして、さらなる高みへ登ることを期待したい。