ビール税の引き下げはなぜ望ましいのか、消費者目線で考える
新しい「極ZERO」は20円“も”価格が上昇するため、話題性がなければおそらく売れ行きが落ち込んだはずです。今回は売れると思いますが、長期的にどうなるかは注目されます。 さらに、第3のビールは9年連続でシェアを増加させています。ここから総合的に考えると、本当はビールを飲みたいけれど、値段が高いため、より安い第3のビールを選択している人が多いというのは、想像通りでしょう。そして、なかなか賃金が上昇しない中でその傾向が続いているということも推測されます。 ここで、ビールを我慢して第3のビールを選ぶということに税金が影響を及ぼしていることが問題です。一見、高いビールに高い税、安い第3のビールに安い税金というのは消費者の味方の制度のように見えます。けれども、実際に我慢を強いられているのは消費者のほうです。 これは、消費税で議論されている軽減税率も同じです。軽減税率は主婦の敵かもしれません。スーパーの食品の税率が低くなり、外食が高くなれば、本当はたまに外食したいけれども我慢するということになってしまいます。低所得者向けの軽減と言いつつ、実際には、たまの外食の楽しみを奪ってしまい、主婦の家事休みも少なくなってしまいそうです。とはいえ、すべてが高い税であれば確かに負担だけが増えますので、できるだけ低い税負担で、しかし消費税率は一律なのが望ましいと考えます。 ビール税引き下げとともに発泡酒や第3のビールの増税となれば、ともかく安くたくさん飲みたい人には、税負担が増えるでしょう。まあ、健康の問題もあるし、医療費も増えてしまうので受け入れてください。そうでなければ、今までは我慢していたビールをこれまでよりは買いやすくなりますので、ビール税引き下げは望ましいはずです。 (文責/釣 雅雄・岡山大学経済学部准教授)