カメラ2台で乳牛100頭監視 AIが発情を検知 研究成果を報告
AIで芋の異物除去も
農研機構は18日、スマート農業技術の研究成果などを共有する「北海道スマートフードチェーンプロジェクト事業化戦略会議」を札幌市で開いた。同機構北海道農業研究センターが、人工知能(AI)を活用した乳牛監視システムについて報告し、カメラ2台で100頭に対応し、発情検知正解率は81%に上ると説明。乳牛へのセンサー装着も必要ないため低コストで導入できるとした。 同センター寒地酪農研究領域の須藤賢司主任研究員が、大規模酪農に対応した乳牛行動監視システムについて報告。監視カメラで牛の移動軌跡を記録し、AIが通常時と発情時の行動の違いを判別する仕組み。「フリーストールで、牛が柱などに一時的に隠れても対応できる」と話した。 同センター寒地畑作研究領域の辻博之領域長は、ジャガイモ収穫時に芋と混ざる土塊や礫(れき)をAIが検出して除去する作業機の開発を紹介。異物をカメラで判定し、これまで手作業で5人必要だった作業員が3人で済む。「労働力不足解消に対応できる。2026年度以降の市販化を目指す」と話した。 香気成分に基づく牛乳のおいしさの評価手法や、種芋の異常株検出システムなどの紹介もあった。 この日の会議にはオンラインを含め300人が参加した。同機構は、生産・流通・加工・消費の全段階でデータを相互利用する「スマートフードチェーン」構築に向けたプロジェクトを22年に十勝地域で始め、今年から道内全域で展開する。