元芸人の消防レスキュー隊員ら 舞台経験のキャリア生かし自作「ハカ」で防火呼びかけ
元芸人の消防レスキュー隊員 舞台経験のキャリア生かし自作「ハカ」で防火呼びかけ 映像協力:生駒市消防署
奈良県生駒市の生駒市消防署の署員が、先のラグビーW杯・ニュージーランド代表で話題となった民族舞踊「ハカ」を自作アレンジし、住宅用火災警報器設置や救急車の適正利用を呼びかける様子を映した動画をSNSで見かけた。日ごろから鍛えている消防隊員のハカは迫力があったが、中心となっているレスキュー隊員のギャグやしゃべりが流ちょうなのにも驚いた。問い合わせてみると、なんとそのレスキュー隊員は数年前までお笑い芸人として漫才をしていたという。さっそく同署を訪ね、オリジナルのハカを作った思いなどを聞いてみた。 【映像】生駒市消防署員・自作の「ハカ」で住宅用火災警報器などの設置呼びかけ
芸人から消防職員へ 現在はレスキュー隊員として活躍
自作ハカを中心になってやっていたのは、同消防署特別救助隊の米田翔一さん(33)。米田さんは以前、吉本興業のお笑い芸人として活動後に同消防署への転職を果たした。 相方とお笑いコンビ「猪鹿蝶」で活動し、多数の舞台にも出ていたが「消防士になりたい」という思いを胸に、約5年にわたる芸能生活に幕を閉じた。そして、30歳の時に念願の消防職員への転職を実現したという。 「自分にとっては思い切った決断でした」と米田さん。現在は、特別救助隊(通称:レスキュー隊)の隊員として、オレンジ色の救助服に身を包み、市民の安全を守るため、仲間とともに日々厳しい訓練を積み重ねている。
ふれあいフェスで「自作ハカ」披露、住宅用火災警報器の適正設置呼びかけ
だが、勤務時以外では、持ち前の明るさから、おしゃべりなどに元芸人の面影を垣間見ることができる。そんな米田さんに今月初め、元芸人の部分を仕事で生かす時がやってきた。11月10日に同消防署北分署で開催された「ふれあいフェスタ」で、多くの市民を前に自作のハカを披露することが決まった。 「一人でも多くの市民の皆さんに、なにか親しみをもって住宅火災警報器の設置や救急車の適正利用を呼びかける方法はないかと考えた時、ラグビーW杯がきっかけで話題となった全国各地の自作ハカが浮かび、米田を中心に署員にやってもらいました」と語るのは、この自作ハカを発案した同消防署署長の川端信一郎さん(56)。 総務省消防庁の発表によると、今年6月1日現在の住宅用火災警報器の設置率は全国で82.3%、全国条例適合率は67.9%だった。生駒市消防本部の設置率は同日現在で77%、全国条例適合率は63%となっている。全国的にも2017年中の住宅火災の件数は総出火件数の3割だが、住宅火災による死者数は総死者数の約7割を占めているという。 こうしたデータからも設置することにより、いち早く火災に気づくことで早い消火や通報、避難が可能となる住宅用火災警報器の重要性。そして、救急車の適正利用をインパクトのある形で訴えるのは、米田さんが芸人時代に積んだ舞台経験のキャリアも生きると川端さんは考えたという。