「なぜ検事総長が来ないのか」 再審無罪の袴田巌さん、静岡地検トップが自宅を訪れ謝罪も批判の声
静岡地検の山田英夫検事正が27日、強盗殺人などの罪で死刑確定後に再審で無罪になった袴田巌さん(88)の自宅を訪ね、「無罪判決を受け入れ、控訴しないと決めた以上、袴田さんを犯人視することもない」などと謝罪した。これを受けてネット上では、「まず検事総長が袴田氏に謝るべきちゃうんか」「犯人扱いを続けている検事総長は謝罪しないの?」などと、控訴断念時のコメントが物議を醸した畝本直美検事総長に批判の矛先を向けた声があふれた。 各社の報道によると、山田検事正は「長期間にわたり法的地位が不安定な状況となり、言葉にはできないようなつらい心持ちで日々を過ごされたことについて、刑事司法の一翼を担う検察としても大変申し訳なく思う」と頭を下げたという。 1966年6月に一家4人が殺害された事件を巡り、袴田さんは同年に静岡県警に逮捕され、80年に死刑が確定。再審公判で、静岡地裁は今年9月、捜査機関の証拠捏造(ねつぞう)を指摘し、犯人とは認められないとして無罪判決を下した。 静岡地検は10月9日、静岡地裁の再審無罪判決に対する上訴権を放棄し、無罪が確定した。しかし、畝本検事総長は無罪確定前日の8日、「強い不満を抱かざるを得ない」「判決には多くの問題があり到底承服できず、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」などとの談話を発表し、ネット上でも物議を醸した。 今回の山田検事正の謝罪に先立ちって袴田さんの支援団体が、「まるで袴田さんを犯人と考えているというに等しい」として、畝本直美検事総長の談話を撤回するよう求める抗議要請書を静岡地検に送っている。 今回の報道を受け、X(旧ツイッター)では、「『無罪判決を受け入れた以上』でなんとか体裁を整えている感が」「なぜ検事総長が来ないのか?」「直接謝罪すべきは静岡地検の検事正ではなく、畝本検事総長だよなぁ」などとの書き込みが目立った。
中日スポーツ