荷物の30%運べなくなる時代に 「物流の2024問題」はドライバーだけの問題じゃない
ドライバーの懸念
RKB 町田有平記者 「九州の大動脈、佐賀県鳥栖市のトラックステーションです。お昼時とあって多くのトラックがズラリと並んでいます。カーテンを下ろしている車は仮眠中でしょうか」 ドライバー向けの休憩施設で「荷待ち時間」について話を聞きました。 「待つところでは6時間とか、ざらです」 「11時おろしなんですよ。10時半に電話せないかんのですけど、それまでずっと待機ですよ。待っている間はほとんど寝ていますね」 また、残業が減ることで収入の減少を心配する声もありました。 「この仕事好きでやっているから残業うんぬんっていうのはないですけど、やっぱり残業時間が減ることによって、給料が不安です。残業代が給料の半分くらいを占めています」
ドライバーの運転時間はデジタル化できない
福岡県に本社を置く運送会社「福岡運輸」では、業務を効率化するためデジタル化を進めています。 ドライバー 「空き時間なので、社内研修をチェックしています」 従業員に支給されるスマートフォンを使って、安全に関する講習動画を視聴するドライバー。客先での待ち時間などスキマ時間を有効活用しようと導入されたシステムです。以前は、こうした研修は休日を使って一斉に実施していました。 福岡運輸 業務推進部システム課 生津瑠美課長 「1分2分でも、積み重なれば、やはり集まって半日研修するよりもかなりの時間が積み上げられていると思います」 ただ、このような取り組みも2024年問題の根本的な解決策にはならないと経営者は話します。 福岡運輸HD 富永泰輔社長 「DXで効率化しやすい部分って、事務仕事的なものが多いんですよね。極端なこというとドライバーが運転する時間っていうのは、DXでは置き換えられません」
規模の小さな会社ほど厳しくなる
荷主に対して運賃の値上げや荷下ろしなどの作業を断る運送業者も出始めていますが、立場の弱い小規模の会社では交渉は難しいといいます。 長野ナンバーのドライバー 「たぶんうちの会社は存続できなくなると思います。お客さんによっては、『次の日に届けて』という要望がある。その場合は1日1500キロくらい走らなきゃいけないんですよ。それ自体が法的に問題があるので。結局は、荷主さんの要望に応えないと仕事成り立たないから来年には、これまでのような仕事はできなくなるんじゃないかな」 運転手不足の解消に向けて、国土交通省は、外国人も運転手として働けるよう「特定技能」の対象に「自動車運送業」を追加する方向で検討を進めています。業務の効率化と労働環境の改善をいかに進めていくか物流業界は大きな転換点を迎えています。