夜間保育施設、来月開園 採算に課題、公的支援不可欠 松江・閉園で新たな受け皿に
松江市内で認可外保育施設を運営する「いっしょに子育て研究所」(松江市西津田2丁目)が、来年1月から新たに夜間保育事業を始める。夜間に幼児を受け入れていた「バンボハウス」(同市乃木福富町)が12月末で閉園することが決まり、経済的に苦しいひとり親らが預ける場がなくなる懸念がある中、新たな受け皿としてバトンを受け継ぐ。一方、当面は赤字経営が続く見通しで、行政をはじめとした支援体制の構築が急務となっている。 【夜間保育】夜間の託児、受け皿不安 松江の認可外保育施設「バンボハウス」閉園へ 繁華街で働く親らに影響
バンボハウスは午後5時半から翌午前3時まで受け入れ、20~30代のシングルマザーらが利用してきた。コロナ禍で利用が減り、閉園を決めた。松江市内で夜間の受け入れを行う保育園は別に1カ所あるが、午前0時で終了する。 後継を探していた松江市が同研究所に受け入れを打診。宮原孝司社長(46)は「働く母親だけでなく、夜間に一時的に預けたい人など多様なニーズに応えたい」と決めた。 生後3カ月~小学生が対象で、来年1月6日に始める。午後5時半から翌午前3時まで受け入れ、延長は最長で同3時半まで対応する。利用料は1、2歳児の場合、月曜日から土曜日で4万5千円など複数のプランを設定している。 バンボハウスで預かっている幼児を希望に応じて受け入れる一方、追加で募集する。1~3月は同研究所内で夜間保育を行い、3月下旬からは近くに建設中の新施設に夜間保育機能を持たせる。 一方で宮原社長は「収支見通しはかなり厳しい」と明かす。1月は1日4~5人の利用を想定するが、40万~50万円の赤字が発生するという。1日15~20人の利用が確保できなければ、立ちゆかなくなる恐れがあるとし「使い勝手を高める努力はするが、行政にはもう少しサポートをしてほしい」と訴える。
松江市によると、市内の母子・父子家庭は20年度で1031世帯。夜間保育には一定のニーズがあるとみられるが、子どもの数が減る中で、施設の継続運営には公的支援が欠かせないのも実態だ。 現状は午後10時以降に子どもを受け入れた場合、1人当たり600円を施設に補助する。市保育所幼稚園課の花形千穂課長は「補助金額を見直すなど考えられる限りの支援を行いたい」との考えを示した。