地方活性化、子育て支援望む声／衆院選公示
15日、超短期決戦の衆院選が幕を開けた。山積する地域の課題に実効性ある施策を打ち出すのはどの候補か、有権者はそれぞれの訴えに耳を傾けた。街では、子育て世代が安心して育児ができる支援を求め、事業主は衰退する地方の活性化策に期待した。 青森県弘前市の商業施設ヒロロの子育て支援センターで子どもを遊ばせていた同市の主婦・對馬千穂さん（45）は「子育て中の親たちが働きやすくなるよう、幼児教育・保育を全世帯で無償化してほしい」と希望。子どもと八戸市の館鼻公園を散策していた同市のトリマー・福士鉄芳さん（42）は「自治体による子どもの医療費無償化の動きが広がっているが、国として子育て支援の予算をもっと充実させてほしい。親が孤立せず安心して育児ができる環境を」と求めた。 七戸町の無職原子あや子さん（76）は、高齢者支援より子育て世代の負担軽減を－と望む。各候補には「理想ばかり語らず、日本が少しでも豊かになるよう一生懸命努力してほしい」と奮起を促した。 経済対策を訴える声も多い。むつ市で飲食店を経営する吉田大樹さん（35）は、税金の使い道や物価高対策を考えてほしいと要望。「高齢者や子どもといった弱い人たちに税金が多く使われることは理解している。ただ、個人事業主など（税金を）払っている者に対する支援と差があり、違和感を持つこともある」とこぼした。 知人の飲食店を手伝っていた青森市の花田隆さん（76）は「ものづくりなどの会社は円安や原材料高騰の影響で満足のいく賃上げができていない。物価高に追いついていないのが現状だ。候補者には小手先の話ではなく、要因や構造的な課題をもっと掘り下げてほしい」とし、主張を聞き比べたいと話した。 飲食店を経営する同市の工藤亜衣南（あいなん）さん（41）は昨今のコメ値上げに苦しむ。「生活にも店の経営にも打撃が大きい。あれだけ『コメがない』と騒いだのに、何もせずこの結果になっているのは納得いかない。今からでも何か対策を考えて」と訴えた。 「町の人通りは減り、買い物客も少なくなった。地方はどんどん衰退している」と吐露するのは、選挙カーが行き交う八戸市中心街で青果店を営む南部町の谷内明子さん（68）。「首都圏だけが栄えるのでなく、私たちの住む地方が発展するような政策を」と期待した。 青森市の無職男性（70）は、大きな争点の一つともなっている自民党の裏金事件に「まだ決着がついていないし、説明責任が果たされていない」と憤る。若い人たちが1票を投じ政治への態度を示してほしいと述べた。 弘前市の団体職員・渋谷真一さん（65）は各候補にこう望む。「『こういう社会をつくるんだ』という将来像を示してもらいたい。候補者が語る10年先、20年先の未来に共感できるかどうかが大切だ」
