日本画家の上村淳之さん死去、91歳 花鳥画で活躍 後進の育成も
清らかな花鳥画で知られる日本画家で、文化勲章受章者の上村淳之(うえむら・あつし、本名上村淳〈うえむら・あつし〉)さんが1日、老衰のため死去した。91歳だった。葬儀は近親者で営んだ。喪主は次男隆司(たかし)さん。 京都市出身。祖母は美人画で知られ、女性で初めて文化勲章を受章した上村松園(しょうえん)、父は花鳥画を得意とした松篁(しょうこう)。自身も京都市立美術大(現・京都市立芸術大)で日本画を学び、伝統を受け継ぎながらも現代に通じる花鳥画を追求。奈良市の自宅で飼う千羽超の鳥を見つめながら描き続けた。京都画壇の一人として活躍し、2010年、平城宮跡(奈良市)に復元された大極殿正殿の内壁画を制作。22年には京都・祇園祭の大船鉾(おおふねほこ)の天井画を手がけた。 自身までの3代の絵を集めた松伯美術館(奈良市)や、京都市学校歴史博物館の館長も務めた。04年まで副学長を務めた京都市立芸大では後進の育成にあたった。 02年に日本芸術院会員に。22年には祖母、父に続いて親子3代で文化勲章を受けた。代表作に「雁金」(日本芸術院賞)や「水辺の四季」など。
朝日新聞社