隆起海岸を震災遺構に 周辺に自転車道整備 「見て回れる道に」輪島市長が方針
輪島市の坂口茂市長は4日、能登半島地震で地盤が隆起した市内の海岸を、震災遺構として保存、活用する方針を明らかにした。海岸を見て回ってもらえるよう沿岸部にサイクルロードを整備する構想も表明。石川県は隆起海岸を含め自然公園「ジオパーク」の登録を目指す方向で、輪島市も元日の大地震を象徴する地形を観光資源の一つとして生かし、創造的復興につなげる。 4日、輪島市内で開かれた市復興まちづくり計画策定に関する住民懇談会で説明した。坂口市長は観光産業の再興策として「海岸を震災の遺構とし、サイクルロードを考えていく」と述べた。 能登半島の外浦側の海岸では地震後、のこぎり歯のような凹凸の白い岩が広がる風景が出現。隆起海岸の総面積は約4・4平方キロに及んでいる。国土地理院によると、輪島市西部では、地震によって海底部が最大約4メートル上昇、大正期の関東大震災で確認された房総半島の約2メートルを超え、観測史上最大規模となっている。 輪島市内では、通行不能となった国道249号の迂(う)回(かい)道路が隆起した海岸の上に整備されるなど特異な景観が広がっている。輪島市は、年度内に策定する計画の中に「地域の伝統文化や自然景観など観光資源の再興」を盛り込んでおり、坂口市長が表明したサイクルロード整備は、その具体策となる見通しである。 また、ジオパーク認定を目指す取り組みを巡っては、石川県の馳浩知事が10月31日に金沢市内で開かれた金沢経済同友会との意見交換会で、北國新聞社、北國フィナンシャルホールディングス(FHD)など産学官で構成するプロジェクト会議を設置し、この会議で進める事業の一つに挙げていた。