【霞む最終処分】(19)第3部「決断の舞台裏」 福島県外処分は「当然だ」 30年以内搬出法律に
佐藤は「中間貯蔵施設の受け入れと法制化は知事を務めた8年間で最も難しい判断だったが、自らの選択に間違いはなかったはずだ」と言い切る。 ◇ ◇ 中間貯蔵施設への除染廃棄物の搬入は2015年3月に始まった。最終処分の期限まで現時点で21年余りだが、処分場をどこに設けるかは決まっていない。佐藤は「約束が果たされるまでの流れが見えない」と危機感を募らせる。 最終処分量を減らすための再生利用の先行きも不透明だ。実現に向け、環境省が関東地方で計画している実証事業は手詰まり状態にある。 佐藤は「国民への情報発信が全く足りていない」と、これまでの政府の対応に首をひねる。科学的に「安全」であっても、社会的な「安心」が醸成されない限り人々の懸念を拭うことはできないと訴え、「安全と安心は別物だ。国は法律の重みを意識し、責任を持って国民の理解を得なければならない」と行く末を注視する。(肩書は当時、敬称略)