北海道のシンボル「赤れんが庁舎」の歴史 札幌の新名所で振り返る
【北海道・札幌】2014年8月、札幌市中央区にオープンした複合商業施設「赤れんがテラス」(札幌三井JPビルディング内)。その名の通り、目の前には旧北海道庁の旧本庁舎である通称「赤れんが庁舎」があります。 【写真】「弥生時代がなかった北海道」 特異な歴史を紹介/北海道博物館
屋上のドームは「独立と進取のシンボル」
その赤れんがテラスの5階にある「眺望ギャラリー テラス計画」では、開業1周年にあたる8月28日から9月27日までの1か月間にわたって、「建築の歴史 北海道庁編」(札幌駅前通まちづくり株式会社主催)が開かれています。北海道のシンボルとして、北海道民のみならず多くの観光客にも親しまれている赤れんが庁舎の変遷を、当時の写真・古地図で振り返るパネル展です。
赤れんが庁舎が誕生したのは1888(明治21)年のこと。もともとあった開拓使札幌本庁舎=1873(明治6)年にケプロンら外国人技師の構想をもとに建築技師・安達喜幸が設計、1879(明治12)年に火災で焼失=をベースに、鉄道技術者であった平井晴二郎が現在ある赤れんが庁舎を「北海道庁舎」として設計したものです。様式こそアメリカ風ネオ・バロックのレンガ作りですが、建築資材のほとんどは北海道産の材料を使用しています。ちなみに屋上にドームを設置する建築様式は、当時のアメリカで「独立と進取のシンボル」として流行していたもので、明治政府の北海道開拓に賭ける思いを表したものと言われています。
1909年に火災も2年後に復元
間口は61メートル、奥行き36メートル、高さ33メートルという、現在の10階建てビルに相当する大建築物ですので、建設当時は圧倒的な存在感を誇っていました。しかしながら、何の因縁か1909(明治42)年に、レンガ壁を残して内部が焼失するという火事が起きてしまいます。この火事の影響で複数の役所が移転を余儀なくされ、札幌のシンボル・時計台は仮の郵便局となりました。 幸いにも残ったレンガ壁に大きな損傷がなかったため、火災からわずか2年で復旧。北海道開拓百年を記念して、1968(昭和43)年に創建当時の姿に完全に復元されました。そして1969年には重要文化財「北海道庁旧本庁舎」にて指定され、永久に保存されることが決まっています。