衆院選公約で多い賃上げに“年収の壁” 給料が増えたら「働ける日数が少なくなる」雇う側にとっても悩みの種に
■既婚女性の対象の調査で「働く時間を減らした人」は“半分以上”
名古屋の街でも、「年収の壁」について改善を求める声が聞かれました。 女子大学生(21): 11月とか12月ぐらいに(親から)大丈夫?超えない?って聞かれて自分で調節するようにしています。 女性(40代): 扶養から超えちゃいそうなので、いま働くのを制限している。時給とかも上がったことによって、働く時間が少なくなってしまったので。できれば何も考えず働けたらいいんですけど。 野村総合研究所がパートなどで働く既婚の女性を対象に行った調査では、「年収の壁」を意識して働く時間を調整している人は61.5%に上ります。 また時給が上がった人の半数が「働く時間を減らした」と答えていて、幅広い業種で人手不足が広がるなか、「年収の壁」のせいで賃上げが労働時間の減少をもたらすという悩ましい状況になっていることがわかります。
■時給上げたトヨタの取引先工場…国に求めることは
スーパーに続いて訪ねたのは、愛知県大口町の工場です。 5代目の坂井聡佑さん(33)が社長を務める「巴製作所」はトヨタの取引先の1つで、ランドクルーザーなどに使われる車載レンチなどの工具を製造しています。 鉄などの原材料費が高騰していますが、坂井社長は愛知県の最低賃金の引き上げに合わせて、ベースとなる時給を50円アップし1080円に。 巴製作所の社長 坂井聡佑さん: 年収の壁が変わらない限り、単価が上がると調整して労働時間が短くなってしまうので、人によって意識しているので、今後見直しが必要なのかなと。 Q年収の壁がなかったらと思ったことは 扶養にはいるパート店員の女性(59): それは若いころから思っています。扶養に入っているから「とにかく103万円で抑えてくれよ」と何十年も言われている。 現在国は、年収の壁を意識せずに働いてもらうため従業員に手当てを出すなどした企業に補助金を出すといった対策をしていますが、坂井社長は中小企業にさらに手厚い支援をしてほしいと訴えます。 Qまもなく選挙 国に希望することは 巴製作所の社長 坂井聡佑さん: 中小企業で今働く方が7割ぐらいだと思うんですけど、中小企業も賃上げは絶対しなければならないと思っています。一方で大手に比べて業績の戻りが遅れていたりしますので、例えば設備投資の保証をもっと拡充していただくとか、していただけると賃上げの方に会社の原資を回すことができる。