ピエール瀧『水平線』主演オファー「『凶悪』で殺したはずの舎弟から言われたら断りにくい」
映画『水平線』(3月1日全国公開)完成披露上映会が2月19日、テアトル新宿にて行われ、ミュージシャンで俳優のピエール瀧、俳優の栗林藍希、足立智充、内田慈、小林且弥監督が舞台挨拶を行った。 【写真】ピエール瀧から北野武監督の話をされ「“もう一回” と言いづらくなった」 俳優としても活動する小林監督の長編映画監督デビューとなる同作。福島県のとある港町を舞台に、震災で妻を失った心の傷を抱え、個人で散骨業を営む井口真吾をピエール瀧、その一人娘の奈生を栗林藍希が演じる。 主人公の井口真吾を演じる瀧は、白石和彌監督 『凶悪』で小林監督と共演。オファーを引き受けた理由を「『凶悪』の中で僕が小林くんを撃ち殺すんですけど、殺したはずの舎弟から主演をやってくれと言われたら断りにくい(笑)」と冗談めかした後「監督として初監督作品というのは一生に一本しか作れない。その主演を僕に頼んできたということは、これは絶対にやるべき作品なんだなと感じ取った。そこから脚本を読ませていただいて、力になれることがあるんだったらぜひという感じで返事をさせていただいた。初監督の主演を名指しされることは非常に光栄なこと。全力で臨むべきことだなと思いました」と語った。 娘の奈生を演じた栗林が、瀧の印象を「お会いしてひと言目に “僕の娘に見える?” と監督に聞いていて、その理由は顔の大きさが違いすぎるから(笑)」と顔を見合わせると会場は笑いに包まれた。 さらに、小林監督が「初日の朝が早いということでスタッフ・キャストが前泊したんですけど、相馬の居酒屋で瀧さんと『アウトレイジ』の話になって、“(北野)武さんはテストをほぼやらないし、本番も一発でOKを出す” と言われ、“もう一回” と言いづらくなった」とボヤくと、瀧は「こっちの勝ちってことですよね」とニヤリ。
印象に残ったシーンを問われると、瀧は「12日間の撮影期間だったので、一発目から回していかないと撮れないような分量だった。その中でみんな集中して各シーン、各カットを集中して撮っていた」と振り返りつつ「娘の栗林さんとは映画の中でギクシャクした関係なんですけど、昔は “それで奈生と仲直りしていたんだろうな” というシーンの時に、1テイク目でジャンプしすぎて、目から火花が出るんじゃないかというくらい天井に頭をガコーンとぶつけて(笑)。小林くんから “どうして続けてくれなかったんですか” と言われたんですけど、続けられる状態じゃなかった」と明かした。 最後に、瀧は作品の魅力を「おそらく、皆さんはこの後映画館の外の空気を吸って現実に戻る時に、“この映画は何だったんだろう” と1人でかみ締めながら、または誰かと話しながら帰路につくかどこかの飲食店に消えていく。(劇場を)出た時に、現実と作品とのグラデーションを楽しめるのは、劇場で映画を見ることの一番の醍醐味の瞬間だと思う。この映画はそういうフックがたくさんある作品だと思うので、ぜひ皆さんが帰りにかみ締めながら、お話をしながら帰っていってほしい」とアピールした。