購買意欲はこうして操られる。その手法と闇に斬り込んだドキュメンタリー映画「今すぐ購入」
大事なのは情報のリテラシーを育むこと
しかし「正しい」ことがもはや「強い」を意味しないからこそ、誰かがなんとかして守っていかねばならない。そのひとりになれるのか否か?を自分に問いかけるためにも、非常に有益なドキュメンタリーだと思う。わざわざ情報量過多な演出で人をけむに巻くような作りも、あえてわれわれの思考力を試しにきている。 ちなみにこの映画が暴き出す「人間の欲望を刺激し消費活動を奨励するディストピア社会」は、ハル・ハートリー監督が2005年のSF映画「月曜日から来た女」で描いていた未来社会に酷似している。以前ハートリーに(ひとつの映画に限らず)「なぜ予言的な作品を作れるのか?」と質問したところ、「予言的と言うけれど、どれも当時の新聞やニュースで得られた情報ばかりだよ」と意外そうに答えてくれた。 今はさらに情報が氾濫している時代だが、われわれ自身が情報のリテラシーを育むことがやすやすと「だまされない」消費者になるための第一歩なのだろう。 Netflix映画「今すぐ購入:購買意欲はこうして操られる」は独占配信中。
映画ライター 村山章