日立市が作成した「原子力災害広域避難ガイドマップ」

日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村白方)の過酷事故を想定し、広域避難計画を今春策定した同県日立市は2日までに、避難経路や避難先を盛り込んだガイドマップを作成し、市内全戸に配布した。マップは避難単位としている「コミュニティ」(おおむね小学校区)ごとに全23種類用意し、各地区の情報を個別に掲載している。 同市は全域が原発30キロ圏に含まれ、避難対象は同県水戸市に次いで2番目に多い約16万8000人。避難先はコミュニティごとに福島県の17市町村を割り当て、原則マイカーを使用する。 マップはA1判(八つ折りA4判)フルカラーで10万部作成。2020年に市内を四つに分けた4種類のマップを作成し、全戸配布したが、今年3月に策定した計画内容を地区別に分かりやすく周知するため作り直した。 地図面には、高速道路を使う主要な避難経路と、一般道を通る代替経路の計4路線を掲載。避難の手順をまとめたチャート図には、一時的に屋内退避する放射線防護施設や、避難バスに乗る集合場所の名称などを示した。 同じ市内でも5キロ圏内と5～30キロ圏内では避難行動が異なることから、表紙には避難先と避難元の地区名に加え、事故発生時に最初に行う防護措置について「いわき市へ避難を開始」「まずは屋内退避」などと示した。 避難バス乗り場や最初の目的地となる「避難中継所」の詳細図のほか、30キロ圏周辺で除染の有無を調べる検査所の場所も紹介。避難や屋内退避の方法は図やイラストで紹介し、避難先市町村などの一覧も掲載している。 市によると、避難計画の策定は30キロ圏内の14市町村に義務付けられているが、地区別のガイドマップ作成は珍しい取り組みという。市は計画に関する住民説明会を10月から12月にかけて全てのコミュニティ地区で実施する。 計画を巡っては避難バスの確保や複合災害への備えなど市単独で対応できない課題が依然として残っており、市は「今後マップに反映させるべき項目が出てくれば更新していく」としている。