2年前の夜。「桜島が初の噴火警戒レベル5」…鹿児島市全域に送られ混乱招いた緊急速報メール 市が警戒範囲明示する形式に変更へ
携帯電話に一斉送信される火山噴火の特別警報の緊急速報メールについて、鹿児島市は警戒範囲と大規模噴火の兆候の有無を知らせる形式に変更する。桜島の火口周辺住民に避難を指示する「噴火警戒レベル5」が、大規模噴火と混同されるのを防ぐ狙い。2025年1月中に運用を始める。 【写真】〈関連〉10月13日、鹿児島湾を渡り鹿児島市街地方面に流れる桜島の灰=鹿児島市与次郎1丁目
市危機管理課によると、緊急速報メールは、噴火警戒レベルを特別警報に当たる4(高齢者等避難)か5(避難)に引き上げたとき、携帯電話会社を通じ自動配信する仕組み。22年12月に気象庁が配信をやめ、鹿児島市が代替してきた。 市は気象庁に対し、警報の文面をそのままメールで使える形にするよう要望してきたが、同庁が対応できないことから、噴火警報を自動的に要約変換するシステムに改修する。 脇田浩任危機管理課長は「わかりやすく正確な情報を届けるため。メールを見て自身の避難の判断や準備につなげてほしい」と話している。 ◇2022年8月2日付掲載記事より 桜島緊急速報メール、警戒範囲「表示を」/気象台に鹿児島市が要望へ=市議会特別委 7月24日に桜島の噴火警戒レベルを5(避難)に引き上げた際、鹿児島地方気象台が配信した緊急速報メールの内容を巡り、鹿児島市は警戒範囲を書き加えるなど改善を要望する考えを示した。1日、市議会桜島爆発対策特別委員会で委員の質問に答えた。
24日は、気象台が午後8時50分のレベル引き上げ時に1回、鹿児島市は同10時20分に有村町と古里町の一部に避難指示を発令した際に1回、いずれも携帯電話会社を通して市内にいた人に緊急速報メールを配信した。市は避難指示発令時、市内全域に防災行政無線も流した。 危機管理局によると、「全島避難なのか分からない」など避難対象地域を尋ねる問い合わせが市役所や支所に多く寄せられた。委員は「市内全域へメールを配信したり防災無線を流したりする必要はあったのか」とただした。危機管理課は「メールは携帯会社の運用上、市町村ごとの配信しかできない」と説明。防災無線については「避難情報を発令した地域に限定して放送することはできるが、気象台が流したメールに詳しい内容が書かれておらず、市民に細かい説明をすべきとの理由で、全域に流した」とした。 市は警戒レベルについて「現時点で判定基準が不適切とは思っていない」としつつ、上げ下げの運用や情報発信のあり方を鹿児島県、気象台、研究機関と議論するよう、県に要請することを検討している。
南日本新聞 | 鹿児島